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第156話

「ンッ……アッ、アアッ!」  粗相をしてしまった事に、半ばパニックになってしまった暁だけど、体の方は従順に中を穿つ熱へと反応した。 (でも、唯は……優しい)  中学生時代から、友人と呼べる存在はおらず、陰湿なイジメなどを受けながら、一人殻に閉じこもる事で自分自身を守っていた。  そんな態度が周りを余計に苛立たせると分かっていたが、一度標的になってしまえば、仮に社交的になったところで、状況が良くなることは無かった筈だと今でも思う。  身内に心配をかけないように、家では明るく振る舞っていたが、他の男子とは明らかに違う性癖について悩んでいたし、自分の好意は相手を不快にさせるものだと決めつけていた。  けれど……上京してすぐに出会った目前にいる麗しい男は、そんな暁の気持ちを知っても変わらず接しつづけてくれ、興味本位だったとはいえ、男の自分を抱いてくれた。 (唯のお陰で、俺は変われた)  今の大学生活が、楽しいと思えるようになったのは、他でもない唯人のお陰だ。  彼がいなければマイノリティな自分の性質を隠すため、必要以上は他人と関わらず過ごす事になっただろう。  唯人は暁を馬鹿だと言うが、暁にとってはそんな唯人を好きになるなという方が、到底無理な話だった。 「ホント、馬鹿」  泣きながら、気持ちを吐露(とろ)した暁の額へと唇で触れ、唯人は薄く微笑むと、暁の両脚を肩へ担ぎ上げ更に動きを激しくする。 「あっ、あっ……あうっ!」  尾てい骨から這い上がる愉悦に身体を反らせて暁が喘ぐと、唯人の大きな掌が暁のそれへとそっと重ねられ、自然な動きで五本の指を絡め取るように繋がれた。

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