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第157話
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迷うような動きをしていた暁の細い指先が、控えめながら自分の掌をキュッと握り返した時、心の底からわき出したのは間違えようのない感情だった。
これまで自覚はしていたし、それを愉しめる余裕もあったが、いつのまにか……上手く感情を抑えられなくなっている。
高校時代も似た感情を抱いた事があったけれど、その時と今とではだいぶ状況が違っているし、唯人自身の心のありようも当時のものとは変化していた。
「あっ……ふぅ」
一旦精を吐き出してから、舌先を胸へと這わせていき、硬く立ち上がった小さな突起を転がすように弄ぶ。
「っ……アッ、アウゥッ!」
突き上げている最中に暁は既に達してしまっていたから、今与えている愉悦はきっと悶えるほどに辛いだろう。それでも……体を僅かに捩りながらも、受け入れようとする姿に、唯人の感情はさらに昂り、冷静さを欠いてしまう。
出会った頃は全く心を動かされはしなかったのに、いつの間にか……暁の存在は唯人の中で大きなものになっていた。
「……必要だ」
「ひっ……あ、あうぅ!」
どうせ聞こえてはいないだろうが、そう告げながら、胸の尖りを強く吸い上げ、再度熱を持った己のペニスで暁を貫いた。
彼の不安を取り除きたいと思う気持ちはあるけれど、それよりも今はその体へと自身を深く刻みたい。
「暁といると……読めない事ばかりだ」
低く唯人が呟くと、きっと条件反射だろう……怯えたように薄い体がビクリと小さく震えたから、胸からいったん唇を離し、紅潮している頬や額へとあやすようなキスをした。
それから唯人は、暁が快楽と感じるであろう刺激を休むことなく与え、最終的には意識を落とした彼をバスルームへと運んだ。
体内へと注いだ白濁を、指を使って掻きだしてやると、朦朧とした様子ながらも、瞳を開いてこちらを見たから、そこでもう一度彼を貫き、自分を好きだと何度も言わせた。
暁の体調を考えるならば、してはならない事だというのは百も承知していたが、こちらを見上げ、不安そうに揺れる瞳を見てしまえば、わき上がる衝動を抑えることが出来なかった。
きっと、工藤あたりが目にすれば、慌てて止めに入るだろうが、たとえそうなったとしても、抑えられはしなかっただろう。
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