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第170話

「壁に手をついて、脚、開いて」 「え?」 「いいから」  いつもなら、椅子へと座った唯人の膝上に向い合わせに乗るように……と、言われるから、内心とても驚いたけれど、柔らかいが有無を言わせぬ雰囲気に、暁は渋々従った。 「こう?」  浴槽から上がった暁が、立ったまま壁へ両手をつけば、「そのまま」と、唯人の声がすぐ背後から聞こえてくる。 「唯、今日はどうした……っ!」  機嫌が悪い感じではないが、いつもとは違う彼の様子に、何かあったのか聞こうとしたが、刹那視界が布に覆われ暁は体を強張らせた。 「なっ……なにして……」 「目隠し、前は良くしたよな」 「ふっ……うぅ」  背後から伸びた彼の指先が、腰のラインをツッと撫で、もどかしいようなくすぐったさに思わず声があがってしまう。  更に、「洗ってやる」と囁いた彼に耳朶を甘く噛まれれば、それだけで……臍の辺りから強い疼きがわきだした。 「脚、開いて」 「……んっ、くぅ……」  耳元へ低く囁かれ、暁は小さく頷き返す。  緊張と羞恥によってガクガクと震える膝を動かし、ほんの少しだけ脚を開くと、誉めるみたいに喉を撫でられ悦びに喉が鳴ってしまった。 「あっ、ゆい……」 「やらしい眺め。自分で腰振ってんのわかる?」 「……ごめん、でも……アァッ!」  尻へと触れた唯人の掌が開いた脚の隙間へと割り入り、陰嚢を緩く揉み始めたから、暁がたまらず腰を揺らすと、もう片方の彼の指先が堅く尖った乳首を弾く。  それと同時にカチリと小さな金属音が聞こえてきて、勃ち上がっているペニスの根本が強い力で締め付けられた。 「んっ……い、痛い、なに?」 「コックリング。付けとかないとすぐ出しちゃうだろ」  首筋をチュッと吸った唯人が、艶を纏った低い声音で告げてくる。 「やっ、むり……」 「無理じゃない。たったこれだけでこんなにしてるんだから」 「いたっ……いたいっ」  陰嚢を強く握り込まれた暁がタイルへと爪を立てれば、愉しそうに喉奥で笑った唯人が乳首を捻り上げ、 「暁は痛いの好きだよな」 と、意地悪な声音で聞いてくる。  悶えながらも首を横へ振ると、 「ホントに?」 囁いた彼が、はしたなくも勃ち上がってしまったペニスの裏筋を指先で撫でた。

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