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第174話

「また余計なこと考えてる」 「……あっ」  目を覆う布と肌の境目にザラリと濡れた感触があり、暁の意識は唐突に……現実へと引き戻される。 「余裕だね。俺とのセックスはそんなに退屈?」 「ゆい、ちが……あ、アウゥッ!」  違うと暁が訴える前に、浅い場所にある敏感な箇所を先端で強く擦られた。 「う゛っ……くぅっ!」 「なんで泣くの?」 「……ゆい、俺、ゆいの事しか……かんがえてない。抱いてもらえて……うれし……から、だから……」  余りに強い愉悦に侵され、それしか言葉が出てこない。  まるで『もっと』と強請(ねだ)るように腰が動いてしまうのも、自分自身では止められないから、暁は素直に快楽の渦に溺れてしまうことにした。もう、気持ちを偽り隠すことに、意味が無いことは分かっている。 「暁、選ばせてやるよ。一晩中、イかせないのとイきっぱなしなのどっちがいい?」 「……どっちでも、ゆいがしたいほうで……いい。でも、ゆいの顔、見たい」  特に気持ちが昂っている時、唯人が自分を苛むことは、随分前から分かっていた。  だが今は、そんな時ですら彼の優しさを感じられる瞬間が多くなっている。 「言うと思った。なら、目隠しを取ってあげないのが、一番の仕置きになるってわけだ」 「仕置きって……俺、なにも……」  していない……と言いかけたが、全く心当たりがないかといえばそうではなかったから、暁は一瞬口ごもった。  工藤から、勝手に話を聞き出したことを彼に知られてしまったのか? それとも――。 「暁がいちいち可愛いのが悪い」 「え? あっ……や、おく……あぅっ!」  耳を疑う言葉と同時に、唯人のペニスが再奥を深く穿ったから、暁は真意を聞くことも出来ず愉悦に身を震わせた。 「好きだろ? こうやって強くされるの」 「あっ、んぅ……すき、ゆい……すき」  こうなってしまうともう、まともに思考ができなくなる。何度も何度も激しく突かれ、嬌声を上げながら、彼と繋がれたことが嬉しくて、無心に「もっと」と暁は強請った。 「い、いくっ……」 「いいよ。好きなだけイって」  極める時は必ず言葉に出すように教え込まれた通り、途切れ途切れに暁が告げると、耳元で甘く囁かれる。 「ゆい、だしたい……いけないっ」 「射精しなくてもイけるだろ」 「あっ……ああっ」  快感の余り反らせた喉を、唇で強く吸われれば……たったそれだけの刺激で暁は、身体を震わせ空で極めた。 「ほら、上手にイケた。中がヒクヒクうねってるの、自分で分かる?」 「んっ……くぅっ」  アナルを貫く唯人のペニスを、食むように中が伸縮するのが自分自身でも分かるから……無我夢中で頷きながら、縋るように彼の掌を握りかえす。

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