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番外編2

「ぜんぜん起きないから、ちょっと心配した」  頬へ触れてきた唯人の指が、喉のあたりへと移動してくる。 「それは……ごめん」 「でも、かわいい寝顔が見れたから、許してあげる」  とろけるような甘い台詞を恥ずかしげもなく口にする彼に、返す言葉をなくした暁は、薄い唇を開閉させた。  誰のせいで起きることが出来なかったと思うのか? と、思わないことはないけれど、出会ったころから唯人の笑みに暁は弱い。 「昨日、海が見たいって言っただろ?」 「うん、言った」 「だから、海」 「え?」 「暁はパスポート持ってないから、国内だけど……ほら」  顎を掴まれ窓の方へと顔を向けられた暁だけれど、ガラスの外は真っ暗だから目を凝らしてもなにも見えず、思わず小さく首を傾げた。 「唯……いったい……」 「いいから見てて」  何がしたいのか? と、訊ねようとした暁の耳元で甘く囁き、唯人は手にしているモコンを長い指先で操作する……と、間接照明の淡い灯りから急に視界が明るくなった。 「うぅっ」 「ごめん。ちょっと眩しすぎたな」  おびただしい光量(こうりょう)に目を開けなくなってしまったが、少しずつ瞼を開いて暁は前を見ようとする。 「ゆっくりでいいよ」  掴まれた顎が上向きにされ、唇にキスが落とされた。それを従順に受け入れながら、官能的な舌の動きに背筋がゾクリと粟立つけれど、徐々に鮮明になった視界に映った唯人の顔を見た途端、思わず「んぅっ!」と呻いた暁は、首を捩ってキスから逃れる。

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