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第5話 痛いのは心。

「黙っているだけじゃ、相手に何も伝わらないよ。俺も後悔した事があるから言ってるんだよ」 「だって、優磨君は格好良いし、初対面の冴えない俺なんかにも同情してくれるぐらい優しいし、友達だって大勢いる。俺なんかとはレベルが……」 眉間にしわを寄せ険しい表情を浮かべている優磨君にたじろぐ。彼は恐らく、いや、確実に怒っている。 「レベルって? 俺なんかって何? 自分の事をそんな風に言うのは止めなよ。それに、俺が君に同情したと思ってんの?言っておくけど、初対面の人に優しくする程お人好しじゃないよ。寧ろ、関わるのなんて面倒だからスルーするね。俺は優しくなんてないよ。好きな子に意地悪しちゃった事だってあるし」 「じゃあ、何で話しかけてきたの? 俺なんて面倒くさい奴の見本みたいなものじゃん、スルーすれば良かったのに」  心とは裏腹に捻くれた言葉が口を突いて出る。本当はこんな事を言いたいんじゃない。 「……もう良いよ。おばさんが心配してるんだろ? 早く帰りなよ』 呆れられた。そりゃ、そうだよな。折角慰めてくれたのに、俺は悪くないって言ってくれたのに、一人で勝手にいじけて意固地になって……俺みたいな奴、相手にしたくないよな。自分でもそう思う。 いつから、俺はこんなにも後ろ向きな考え方をするようになったんだろう。小学校に上がる前までは、今よりもマシだった気がする。初恋の子に嫌われてからかな。 「あの……」 「何?」 「じゃあ、俺、帰るね。手当てしてくれてありがとう」 「……」 こっちを見てもくれない。完全に嫌われてしまった。 優磨君にぺこりとお辞儀して買い物袋を拾い土手に上がった。身体が鉛のように重くて上手く歩けない。足に痛みはなかった。痛いのは心だ。彼を傷付けしまった不甲斐ない自分に腹が立つ。口端をきゅっと結び、涙腺が緩みそうになるのを堪えた。泣いたら駄目だ。

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