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第7話
「晃成も飲む?」
聞かれて首を横に振った。今アルコールを摂取したら絶対落ちる。このまま朝まで眠れればいいんだけど、間違いなく雪華の『おなかすいたコール』がかかるに決まっている。
案の定ビールを飲みながら「おなかすいたなー」と訴え始めた。そりゃあれだけ激しい運動をしたから空腹だし、さっきからお腹が鳴りっぱなしだ。だけど体が動かない。
「もう少し後にしてもいいですか」
情けない声を上げると雪華は少しだけ考え込み、よし、と頷いた。
「わかった。今日はこの雪華様が特別にご飯を作ってあげよう」
聞き間違えかと思った。
「え?!」と突拍子のない声を上げる。
「作れるんですか?! あなたが? まさか??」
「いやあ、君、なかなか失礼だな。俺を誰だと思っているんだ? 雪の国の王、雪華様だよ。できないことなんかあるはずないだろう」
全裸だった雪華はそのままのスタイルでキッチンに行くと鼻歌交じりに食材を切り始めた。引き締まったお尻がプリプリと揺れている。さっきまであれが自身を咥えこんでいたのかと思うともう一ラウンド申し込みたくなるけれど、ぐっと飲み込んだ。
今は性欲より食欲を何とかしなければ。
それにしても体力がなさすぎる。同じ時間を過ごした後なのに雪華はまったく疲れを見せない。こっそりと凹んでいるとチラっと視線を投げた雪華は「ごめんなー」と謝った。
何に謝られているのかわからず不審そうな表情を浮かべてしまったのだろう。雪華はもう一度謝ると今まで知らされていなかった秘密を口にした。
「実はさ、俺は人間の精をもらって生命エネルギーを保っているんだよな。晃成の精液をもらうことで若返ってんの。今日は欲張りすぎていつもよりちょ~っと多めにいただいちゃった」
とんでもない告白だった。
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