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第9話

「ま、まあね? やればできるっていうか、もともとパーフェクトなわけだし?」 「まじ美味いです。また作ってくれますか?」 「いいよー。特別だからな」 「俺、今度は唐揚げも食べてみたいです」  調子に乗ってリクエストすると、油は怖いから却下と断られた。鍋限定らしい。  こんな風にセックスしたりご飯を食べたり、時々辛口をはさんだりした穏やかな日々はいつまでも続くと思っていた。    時々サイトをチェックしたが相変わらず再生数は上がり続け、速報と打った動画も流れていた。 『今回も発見ならず』とドーンとした文字の後に、続く、と出る。まだまだ探しに来るつもりらしい。  あまりのしつこさに眉をひそめた雪華は「邪魔だなー」と呟いた。自分のテリトリーに我が物顔で不審者が侵入したことが気に入らないらしい。どこまでも欲深い彼らにいい加減うんざりしているのだろう。 「(ささめ)」 不機嫌そうな声にどこから現れたのか、執事姿の男が目の前に控えた。 「およびですか、雪華様」  普段は晃成と雪華の二人暮らしなのだが、どんなカラクリなのか必要であればいつでも側の者たちが姿を現す。晃成をよく思っていないのだろう、目も合わせてくれない。いないものとして扱われても、まあ、仕方ないかなと思う。雪華は王様だから。 「最近うるさい奴らがうろついている。結界を強くしておいてくれ」 「かしこまりました」 「こんな山奥まで……人間も物好きよな」  普段ののんびりとした雪華とは全く違う表情だった。感情の読めない冷たさで口元を歪め人間を嫌う言葉を吐く。ヒヤリと温度が下がった気がする。 「ですが」と細は口をはさんだ。

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