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第18話

 だけど逃げた晃成に向かって彼らは銃を発砲した。パンパンと乾いた音が空に響き渡る。あんな小さな球なのに直撃を受ければ痛いし血も出る。 「逃げるのかよ、バケモノ」  追いかけてくる彼らに晃成は警告する。 「これ以上近寄るならどうなっても知らないぞ」  血を流しながら晃成は振り返った。どうか帰ってくれと強く願いながら。だけどカメラはじっと晃成を見つめ続けている。 哀しい気持ちを抱えながらもう一度告げる。 「これ以上は許さない。傷つきたくなければいますぐ帰れ」  だけどそれに対する答えはニヤニヤとした笑いだった。終わりだ。  晃成は大きく吠えた。  呼応するように雪が舞い、風がクルクルと竜巻を起こす。雪の眷属としての血が目覚めたのだ。強くなる風は雪を巻き込み吹雪を呼んだ。 「うわ、ホンモノだぜ。撮れ!」  なおも執拗と向けられるカメラのレンズが凍りパリンと音を立てて割れた。カメラを抱えていた奴がクソっと悪態をつく。目の前は真っ白く染まり前も後ろもわからなくなった。 「もういいや、めんどくさいからやっちゃおうぜ」  低く感情のない声が耳に届く。それが人間の彼らから発されたとはにわかに信じがたかった。だがうまくいかない悪意は晃成に向けられていた。 「オッサンうるさいんだよね。ちょっと撮らせてくれれば済む話を説教したかと思えば逃げようとするし、マジうぜえ」  エアガンが激しく撃ち込まれた。さっきまでの威嚇とは違う弾の強さは改造がなされているに違いなかった。小さな球を防御している晃成のそばに走り寄る気配を感じた時には遅かった。 「くたばれ! バケモノ」  サバイバルナイフを両手で支えた体重が一気にかかる。ドンと激しい衝撃が走った。

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