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第22話
いつまでも帰ってこない晃成を心配して見つけに出た先で、あの場面に出会ったようだった。もう少し遅かったら雪華でも命を繋げることはできなかったという。
「お前が耐えてくれたよかった。でも謝らなきゃいけないこともある」
先を促すと珍しく口ごもり、どうしようかと細に助けを求めた。いつだってあけっぴろげな雪華のこんな姿は初めて見た。細は知らん顔をして助けをスルーした。情けなそうな雪華を見て晃成は笑った。
「いいですよ。もう何も驚くことはないし、言ってください」
「そうか……ごめんな、先に謝っておくけど……お前、もう人間じゃないんだ」
そんなこと? と晃成はキョトンとしたまま雪華を見た。そんなのもうかなり前に知っていたことだし、それについては何の問題もない。だけど雪華は萎れたように俯いて「ごめんな」と繰り返した。
「前に言ったよな。ほんの少し人間の部分を残しているって。あれ、精が欲しいってのは半分嘘。本当はいつかお前が人間に戻りたいって言った時のために残していた。生死の際で決めたことだから後悔する日が来るかもしれない。その時に戻れるように残していたんだ」
初耳だった。人間に戻りたいなんて考えたこともなかった。そこまで考えてくれたなんて信じられない気持ちで雪華を見た。
「なんでそこまでしてくれるんですか」
仲間たちが消えていくのをただ見ていることしかできなかった晃成を。自分よりほかのみんなを助けてほしかった。生き残ったことをずっと悔やんでいたのに、雪華はそんな晃成のまだ先の未来のことまで考えてくれていたのか。
「あの時、お前は自分も死にかけていたのに俺に言った言葉を覚えているか? 自分はいいから仲間を助けてくれって。そればかり言い続けて。震えて言葉にならないのに必死に頼むお前に興味がわいた。初めての感情だった」
雪華は懐かしそうに遠くを見る。
「残念ながらお前の仲間たちの命は消えていた。たったひとり残されたお前をどうしたらいいのか、わからなかった。命を繋ぐために俺の眷属にした。だけど嫌がられるかもしれないって弱気になったんだな。お前に最後の選択を残してあげたかった」
だけど、と続ける。
「今回それも使わなきゃお前は助からなかった。全部、人間じゃなくなってしまった。戻りたくなっても戻してあげられない。勝手に決めてごめん」
「謝られる意味が分かりません」
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