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初めての快楽
今度は右手が僕の肩を押さえるから、まだ目を閉じる僕。
次の瞬間の肉が裂ける痛みと溢れ出す液体は予想したのと大差はない。
でも、予想もしないことが次々と起こる。
チュプチュプ
ドクドクと体外へ出ているはずの血が柔らかいもので塞がれ、飲み込まれていく。
モクモク
最初はくすぐったいような感覚が全身を包んだ。
不思議とイヤじゃない感じが初めてだから、戸惑う僕。
「ア、ぁ……アぁ、ンア……ハァ」
漏れ出す声が自分じゃないみたいなんだ。
ふわふわ
沸き上がる熱が身体を痺れさせ、下半身から胸、頭へと上がってくる。
「ハァ、アぁ……ンハァ、あ……ン」
温かいし、さっきとは違う意味で頭が真っ白になる。
これが……快楽か。
「気持ちいい?」
チュッと共に低くて甘い声が目の前で聞こえてくる。
「もう、死んでもいい……」
ふわふわした意識を紡いで言った僕を、ふふふと笑う彼。
「君、いくつ?」
「15歳です」
薄目に開いた瞳から見える彼は変わらず微笑んでいた。
「もしかして、初めて?」
甘く囁くように言った彼は右の人差し指で血を絡めとり、長い舌でぺろりと一口で舐める。
僕は寒くないのに、大きく身体を震わせた。
「あらら、君の初めて……奪っちゃった♪」
顔を左に傾けて、握りこぶしにした右手を右のこめかみに1回当てた彼。
「あなたは天使ですか?」
僕の言葉を聞いてキョトンとする彼。
「どっちかって言ったら、君の方が天使じゃないの?」
不思議そうに言って首を傾げた彼だけど、何かを閃いたように目を見開いた。
「天国よりも良いところに連れてってあげるね」
穏やかな声で言ってから、僕をお姫様だっこをして胸に抱え、強く首筋に噛みつく。
「どこ……?」
僕は掠れた声で問いかける。
「楽園さ、すぐに気に入ると思うよ」
目を細めた彼の瞳が赤く光ったのが見えた途端、僕は弾けるように意識を失った。
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