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夜彦
チュッ……チュッ……
真昼さんが搾り取るような吸い方に変わる。
「ア、ンぁ……アン!」
それに合わせるように自然と腰が揺れてしまう僕。
「あふれでてきよるわ……かんじてんの?」
「わから、ない……です」
「うそついたあかんでぇ」
ペチャ、ペチャ
わざと大きな音を立てて舐め、口に付いた血を舌でぐるりと拭き取り、ニヒッと笑う。
あごの右側の大きいほくろがとても色っぽく見えて、思わず熱い息が漏れる。
「もっと気持ちようなってなぁ、まあにぃが全部受け止めたる」
またチュッチュッになって吸い続ける真昼さん。
上半身だけ脱いでいる黄緑のつなぎが蛍光灯に負けじと明るく見えて、目がチカチカする。
目を慣らすために、この部屋の全体を見る。
ピンクと白のボーダーが入ったドアと窓以外の壁にびっしりと写真が貼ってある。
左から白、ピンク、緑、オレンジと4つのテーマに分かれているようだ。
あとは左側に4段の本棚、右側には勉強机。
そして、僕らがいるベッド。
真昼さんの部屋だから、真昼さんは自由にしているのだろうか。
それとも、ピンク髪の彼の部屋なんだろうか。
「わたくしのこと、お忘れでごさいませんか?」
いきなり、首を強く噛まれてジュッと吸われた。
「アッ、アハッ……ァ」
首が絞められた苦しさといきなり感じる快楽にまたクラクラし始める。
「穏やかなわたくしでも怒ると怖いのでございます」
荒くなった息を整えようと、あごを上げてゆっくり呼吸をする僕はごめんなさいと言う。
「気にしてはおりませんよ。さて、かわいいお顔を見せてくださいませ」
両手を頬へ添えられて、右へと引っ張られる。
オレンジ色の前髪を後ろにして真ん中を膨らませたミディアムの髪型で目元と口元が三日月状になっている顔が見えた。
なにより印象的だったのは口元の左側にある今にも取れそうなほどの大きいほくろ。
真昼さんはあごの右側にあったなと思い出す。
「わたくし、朝日夜彦 と申します……以後、お見知り置きを」
年上の男性……夜彦さんに礼儀正しく頭を下げられたから、僕も思わず頭だけでお辞儀をする。
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