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変わる

 腕も  足も   身体を誰かと取り替えたかのようにまっさらな素肌なのが信じられない。  「顔も綺麗になったよ」 どこから出したかわからない手鏡で自分の顔を映されたけど、自分の顔だとわかるのに10秒かかったんだ。 「残念やけど、記憶までは消されへんかったわ……せめて、心の傷だけはと思うて棘は抜いたったけどな」 ごめんなぁと眉を八の字にして申し訳なさそうに謝る真昼。 「記憶操作は出来ないわけではないのでございますが、代償に地獄のような痛みが全身を焦がすのでございます……そのようなことをあなたにさせたくなかったのでございます」 お許しくださいませと夜彦は深く頭を下げる。 「まぁ、これから俺たちと楽しい思い出作っていこうってことだから。よろしくね、ゆーたん」 ハートが付きそうなくらいに語尾を上げたようちゃんは右目でウインクをする。  「どうしてここまでしてくれるの?」 なぜ僕に優しくしてくれるのかわからない僕はうつむきながら震える声で言った。 ゆっくりとようちゃんから離れ、ストンとピンクの絨毯に三角座りをする。 「あなたたちとは初めて会ったばかりだし、種族も歩んできた人生も違う。日本で一番の上流家庭だったあの家で除け者扱いされていた僕に優しくして、弟にするなんていうのは……頭がおかしいと思います」 僕は愛されてはいけない。 彼らに無駄な労力を使わせてはならないんだ。  意を決した僕は顔を上げた。   「欲しいのは名誉ですか」 夜彦を睨む。 それなのに、夜彦の顔は真っ赤に染まる。 「お金ですか」 真昼を睨む。 なぜか真昼も睨み返してきた。 「血ですか」 ようちゃんを睨む。 それなのに、ようちゃんは微笑んだまま。 どれかを選ぶか、はたまたもっと大きい何かを望むのかと僕は緊張しながら待った。  「やーひ、今のなに言うてたかわかった?」 最初に口を開いたのは真昼。 半笑いをしながら夜彦に尋ねている。 「とりあえず耳には入ってきました」 「せやんな」 僕の言い方が悪かったのだろうか、真昼も夜彦も首を傾げる。

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