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オムライス
今日の朝ごはんはオムライス。
赤いケチャップライスに乗っているふわふわの黄色い楕円形の卵をナイフで割ると、優しく包み込んでいく。
そして、食べるのは1人だけではない。
みんなも同じように開いて歓声を上げるから、嬉しく
なるんだ。
吸血鬼……まぁ、吸血鬼のトトと人間のカカから生まれたからダンピールっていうらしいんだけど、ほぼ吸血鬼の生活だから、一応吸血鬼とするね。
吸血鬼は主に人間の血を栄養とするみたいなんだ。
だから、食べなくても生きていけるんだけど、僕に合わせて朝ごはんは食べてくれることになった。
でも、食べるようになって良いことがあるみたいなんだ。
「陽太、料理上手くなったわね。私のお弁当も頼んじゃおうかしら」
ようちゃんの腕も上がってきているし
「こんなに美味しいなんてな……千佳1人で食べさせていて悪かったわ」
カカも少しは淋しくなくなったし。
「そうそう、零屋 さんで食材を買うようになったのが嬉しいみたいで、トマトジュースをおまけにつけてくれるようになったんだよね」
零屋さんは賞味期限切れなどの日本では捨ててしまうものを仕入れて売ってくれるところなんだって。
「ゆうちょもいってみぃや……しゃかいべんきょうになるで」
トマトソースを器用にスプーンで掬い、卵へ掛けながら真昼はニヤッと笑う。
「お金ではないもので売買する姿は見たことないでございましょう。どうなることやら」
見物でございますねと含み笑いをする夜彦に僕はうんと不安そうに言ったんだ。
瞳耳では、僕のお祝いだと言ってお金を払わなかったもん。
「大丈夫、きっと気に入ると思うよ」
僕はこの言葉を聞くと、とても安心するんだ。
だって、この言葉が聞こえてきた隣をみると、優しく微笑むようちゃんがいるから。
「優しい気持ちをもらったら、感謝の気持ちを返す……それだけさ」
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