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5年後

 発展した文潟は独立国家になって3年。 ダメダメだった僕も20歳になり、知識が豊かな大人になった。 そして、朝日家の一員として大事な役目を務めるのも慣れてきたんだ。 そんな時、因縁のあの人たちからSOSが送られてきた。 万博が終わった日本は急激に景気が悪くなり、財閥だった御前家も解体寸前にまで追い込まれていた。 文潟建国のきっかけを作ったよしみで御前家を引き取ってくれないかだそうだ。 僕はもう恨んでないから、助けてあげようとようちゃんにお願いした。 念のため、さらさらヘアの真昼に予知をしてもらって結末が最悪かもしれないと言われたけど、それでもケジメはつけたいんだ。  「お待ちしておりました」 門を開けて待っていた執事は年をとったものの、僕を投げ捨てた人だとすぐにわかった。 灰色のスーツのようちゃん 黒のロングコートの真昼 藍色の作務衣の夜彦と入っていく。 だから黒のスーツの僕も入ろうとしたんだけど、止められたんだ。 「申し訳ございません、私どもは朝日家の三兄弟に頼みましたので……従者はここでお待ちいただけますか?」 僕は怒らず、ニコリと微笑む。 「よくのこのこと生きていたな、お前」 僕にしか聞こえないような小さな声で言う執事。 「土下座して謝れば、御前家へ迎え入れてやるが……どうする?」 執事は蔑むように笑い、僕のつま先に踏み潰す。 でも、僕は微笑んだまま、黄色のケースから名刺を取り出した。 「どなたと間違われているかはわかりませんが、私はこのようなものです」 その名刺を僕から剥ぎ取って見た執事は目を見開き、わなわなと震え始めた。  「この話はなかったことに、帰るよ……お三方」 僕は手を上げた後、背を向けてゆっくりと歩いていく。 「首相がそう言っているので、この話はなかったということにしますね」 「首相!? 朝日家は三兄弟では……?」 「ぼくらはよにんやで?」 「そんな、だってあいつは」

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