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一
夜彦は緑のニットにオレンジ色のパンツ、ようちゃんは紺色のワイシャツにワイン色のパンツ、真昼は黄緑のつなぎといういつもの服装なんだけど。
「やっぱ、まあにぃのせんすはてんさいやわ」
ようにあっとると満足そうに笑う真昼が今日は隣にいる。
そして、僕の服を眺めるんだ。
もらった時点では黒地にいちごのイラストに囲まれていた上着が後ろは白地にバナナのイラストへと変わり、前開きのファスナーを付けてくれた。
そして、黄緑のズボンにはダメージが入り、黄色のニコニコマークが散らばっていた。
「ありがとう、まあにぃ」
僕は心を込めてお礼を言うと、真昼は照れたように鼻を掻いてから僕の頭をぐしゃぐしゃと撫でたんだ。
そんな話をしているうちに、古い町家の前に来た僕ら。
木の看板には墨の字で『一』とだけ。
今の僕ならすらりと読めるよ……にのまえでしょ?
ガラガラと引き戸を開けて見回すと着物から洋服まで色々と並んでいた。
でも、店員さんが見当たらない。
「すいませ……うぷっ!」
大声で叫ぼうとしたら口を押さえられる。
上を見ると、ようちゃんがイーの口に人差し指を当てていた。
そして、小上がりになっている畳の上にあるカゴを指さす。
何故か笑いが止まらない夜彦とようちゃんがそこに
近づいていき、カゴの上の方で空気を撫で始めた。
「真昼は行かなくていいの?」
隣を見れば目線の位置が同じ真昼が真顔で2人を見ていた。
「別に……ぼくぅ、犬派やし」
フッと鼻を鳴らす真昼は僕を見て舌舐めずりをする。
「でも、一番はやっぱりゆうちょやから」
僕は純粋な瞳に吸い込まれそうになった。
「にゃっ、またたびにゃ!」
「またたびにゃ……うにゃ!」
白い猫はようちゃんにデコピンをされ、灰色の猫は夜彦に頬ずりされていた。
「仕事をしろ、七夢 」
「なっ、お昼寝タイムだったんにゃ!」
白い猫は瞬時に白髪の黄色い着物を着た男性になった。
「むっちゃん、かわひひ〜」
「汚いにょはやめるにゃ!」
灰色の猫も灰色の髪の藍色の着物を着た男性に早変わりした。
獣人なんて、初めて見た。
ましてや、猫なんてと思ったら嬉しかった。
百聞は一見に如かず……ものまねの1000倍はかわいかったんだ。
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