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投げて寄越された小さな瓶の中からとろりとした液体を掌に出す。
それを両手に伸ばしながら、ちらりと格子の向こうの弟を見る。
「…こんなの見て、何が楽しいんだ?」
「それは兄貴の基準だろ?」
また尋ね返されて、苛々が募って行く。
けれど侑紀は縛られたままの手を動かし続けた。
『オナって見せて』
それはまるで質の悪いイジメのような要求。
は?と聞き返す侑紀に、汰紀は瓶を投げて寄越した。
「………」
ローションをまぶした手を、縮こまって股間にぶら下がるモノに添える。
「………」
無言で、手を動かす。
「声、出さないの?」
「っ!!男が出すかよ!?」
「ふぅん」
さして気にしないのか、汰紀はそう返しただけだった。
グチュ
ローションの滑りを借りた動きに、こんな状況でも股間のモノは反応を示す。
「は…」
グチュ…グチュ…
規則正しい濡れた音。
一度立ち上がりかけてしまえば、そこはあっと言う間に力をたぎらせ、堅く上を向いた。
「黒いね、遊んでるの?」
「…ぅ…っせぇ」
ふ、ふ、と短く息が漏れる。
こんな醜態を晒す真似をさっさと終わらせたくて、侑紀は一心不乱に手を動かした。
「彼女とは?週何回ヤるの?」
「おま…え、にっ関係ねぇっ」
タラリと垂れ始めた先走りに、先端に触れる。
腰に集まった血から、ざわざわとした物が駆け上がって背筋をしならせる。
「一回って事は無いんでしょ?」
「うるっせぇ!逢えばヤるよ!っ…」
「へぇ、じゃあほとんど毎日?彼女タフだね」
ふふ…と笑われ、その事に気を取られると高まりつつあった熱が僅かに逃げる。
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