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 僅かに身を引いた汰紀に向かって蹴り上げる。 「ーーーーっ!?」  ごっ と鈍い音がし、続いてばたんと汰紀の体が倒れ込んだ。 「ぅっ…!!」  腹を押さえて転がる汰紀が小さく呻いた。  ざまぁ と溢しながら、侑紀は立ち上がると、噎せて苦し気に息をする姿を見下ろす。 「兄貴に逆らうとこうなるんだよ!痛い目見たくなけりゃ、とっとと出せ!!」 「っ…く……いつまでも、兄貴の思う通りになるなんて思うなよ?」 「はぁ?転んで頭打ったのか?お前は何時でも、俺の思う通りに動くようになってるんだよ!」  立ち上がった汰紀の手がロープに掛かり、ぐいと引っ張る。 「あっ 」  力任せに引っ張られ、ロープの力に負けて格子に向けて倒れ込む。  こめかみが格子に当たり、ぐわぁんとした痛みに侑紀は呻いた。 「壊れても、そんな口利けるのかな?」 「あ゙… ぁ、」  首に手が掛かり、指が血管を探り当てて力を込める。 「ぃ、…あ?や、 め…」  視界がふぅ…とボヤけ、顔が赤らむのが分かった。  抗おうとするも、上手く力が入らないままに手は畳の上に落ち…  ぐい と、力の入らない半身が左右に開かれる感覚に襲われ、侑紀は途切れ掛けた意識の中、ゆっくりと目だけを動かす。  小瓶の蓋が開けられ、ぼんやりとした意識の中でも後孔にひやりとした物が垂らされたのが分かった。 「な、に  し…」 「兄貴の、考えの範疇外の事」  つぷ  指先が、僅かに中に入った。

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