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ズルリと硬度を保ったままのソレを引き抜くと、精液と血の混ざったモノが滴った。
「兄貴」
呼ぶも、侑紀は震えながら見返すばかりで…
「 ふ…イイ顔」
汰紀はそう満足そうに微笑んだ。
自分の内太股に付いた赤い筋を爪で掻き落とす。
その動作だけでも苦痛を伴い、侑紀は半ばで諦めて四肢を投げ出した。
『まだ、壊れないよね?』
痛みとショックで震える侑紀に、答えを返す力は無かった。
ただ格子の角に逃げ、弟が立ち去るのを待つ他なく…
「ぃっ…つぅ……」
呻きながら、肌寒さから逃げるように苦労して身を縮める。
「…ぁいつ…っ」
自分の身に起こった事を思い出す度に、苛んだ痛みと苦しさが蘇る。
未だ痛む自身の奥に現実逃避も許されず、ただ呻いて傷が癒えるのを待つしかない。
「はぁ」
家を飛び出して六年だと、痛みで眠る事も出来ない頭で思い出していた。
当時まだ中学生だった汰紀は、頭は良かったがその分ひょろりとした風でまるで女のようだった。
女受けは良かったが、やっかむ男たちには不人気で…
侑紀自身もその男たちに紛れて陰口を叩いた事もあった。
香代子は、そんな汰紀の初めての彼女で、一目惚れした汰紀が懸命に口説き落とした同級生だった。
どんな顔だったのか、
その体がどうだったのか、
有り体に言ってしまえば、覚えてはいなかった。
そんな昔の事でこんな目に遭っているのかと思うと、侑紀は情けなさに息を吐いた。
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