18 / 62

17

 ズルリと硬度を保ったままのソレを引き抜くと、精液と血の混ざったモノが滴った。 「兄貴」  呼ぶも、侑紀は震えながら見返すばかりで… 「 ふ…イイ顔」  汰紀はそう満足そうに微笑んだ。  自分の内太股に付いた赤い筋を爪で掻き落とす。  その動作だけでも苦痛を伴い、侑紀は半ばで諦めて四肢を投げ出した。 『まだ、壊れないよね?』  痛みとショックで震える侑紀に、答えを返す力は無かった。  ただ格子の角に逃げ、弟が立ち去るのを待つ他なく… 「ぃっ…つぅ……」  呻きながら、肌寒さから逃げるように苦労して身を縮める。 「…ぁいつ…っ」  自分の身に起こった事を思い出す度に、苛んだ痛みと苦しさが蘇る。  未だ痛む自身の奥に現実逃避も許されず、ただ呻いて傷が癒えるのを待つしかない。 「はぁ」  家を飛び出して六年だと、痛みで眠る事も出来ない頭で思い出していた。  当時まだ中学生だった汰紀は、頭は良かったがその分ひょろりとした風でまるで女のようだった。  女受けは良かったが、やっかむ男たちには不人気で…  侑紀自身もその男たちに紛れて陰口を叩いた事もあった。  香代子は、そんな汰紀の初めての彼女で、一目惚れした汰紀が懸命に口説き落とした同級生だった。  どんな顔だったのか、  その体がどうだったのか、  有り体に言ってしまえば、覚えてはいなかった。  そんな昔の事でこんな目に遭っているのかと思うと、侑紀は情けなさに息を吐いた。

ともだちにシェアしよう!