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うつら と、途切れ勝ちな意識を何とか繋ぎ止めた。
「み…ず……」
のそりとした緩慢な動きで、備え付けられていた水道の方へと這う。
あれからどれくらいが経ったのか侑紀には分からなかったが、腹の虫はピクリとも鳴らなくなった。
起き上がろうとするも酷い目眩に叶わず、身体中が痺れたように震える。
微かに残る意志で水分だけは摂らないと と動くも、それも難しくなってきていた。
「………」
ひゅう と、嗄れた喉から息が漏れる。
水を求めてはいたが重力にすら抗えずに横になった。
「… ?」
重たい瞼を瞬かせる。
「 な ん…?」
ナニかと、目が合った…
「…は?」
少し前から、暗闇に馴れて格子は見えるようになってきていたが、目の合ったそれはそれより向こうにいた。
きらりと光る。
光源で無いなら、明かりが無いのだから何かが光る何て事は有り得ない。
ざわざわと、鳥肌が立つ。
「あ… あ?」
こちらを向いた、龍。
「絵か……なん、だ バ、」
バカバカしいと続けようとした言葉が途切れる。
龍は、こちらを、
向いていたか───?
「っ!!」
どこにそんな力が残っていたのか、侑紀は跳ね起きて転ぶように格子へと駆け寄った。
「は、…は、…は っ」
嗄れた喉に唾液を押し込む。
「そん、な、訳な…っ ひっ」
正面でナニかがのたうった。
粘膜を携えた足が、ズルリと動く。
「ぃ、 っ」
大きな濡れた目が、ギョロリと自分を見た気がして、自由にならない手で格子を掻いた。
── ───
ガリガリと自分が立てる音の間を抜い、ナニかが聞こえる。
「は…んな、訳 」
無いと言おうとした声が遮られた。
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