31 / 62
30
「きょ…? ぅあ っ!!」
耳朶を噛まれて声が上擦る。
胸を弄っていた指が、すっかり肋骨の浮き上がった脇を撫でつつ下へと下がって行く。
明らかな愛撫の形を取るそれに、ぶるりと体が震えて逃げを打った。
「ひーじぃさんも、欲望のままに娘達を閉じ込めた」
体がのし掛かり、逃げ道を塞ぐ。
下へ伸ばされた手が微かな芯を持つソレに触れ、ゆるりと上下に擦り始める。
「ぃ、あ… 」
「弟の手で、イかされる気分はどう?」
「さ、 さいあ…く…」
じわ…と沸き上がる熱に、力のろくに籠らない体で抵抗を試みるが、逆にあっさりと辛めとられた。
ぐじゅ と湿っぽい音がし始めると、揶揄る笑いが続いて漏れる。
「俺で、感じてる?」
否定しようとした言葉は耳元で吐かれた熱い息に遮られ…
玉をやわやわと手で転がされ、細やかな抵抗をしていた腕から力が抜けた。
「ねぇ兄貴」
「な、んっ だよっ」
「キスして良い?」
目の前の、女のように繊細な作りの顔が柔らかく微笑む。
「き、しょく悪ぃ」
「ありがとう」
まったく噛み合わない返事をし、汰紀はゆるゆると扱く手を休ませないまま、軽く首を傾げて口づけた。
軽く、互いの唇の先端が触れる。
一瞬だけで離れた後、汰紀は小さく目元を緩めて照れて見せた。
「 」
「 」
絡まった視線の先に言葉を見つけられず、侑紀は先に目を逸らす。
それに小さく苦笑を見せ、汰紀は足を抱え上げた。
ともだちにシェアしよう!