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第6話

「こんなことなら、梅木原君との予定をキャンセルしなかった方が良かったかも? 梅木原君も入って、4人でお泊り会みたいになったかも知れないね」  雨宮と折笠、それに、敵対する香井が雨宮の洋服を着て、同じ席につき、夕食を食べている。夕食のメニューは煮込みハンバーグで、ハンバーグも質の良い牛挽き肉に玉ねぎ、良質のナツメグや有名な養鶏場のこだわりの卵を入れて、家政婦長の芙美が丁寧に作ったものだという。 「ふん、先輩はそんなに暇じゃない……」  ハンバーグを口に運ぶと、外が大雪なのが信じられないくらい、温かく、口の中に旨味が広がっていく。頬張るようにして、香井はハンバーグを平らげていくと、バケッドやサラダもおかわりした。 「これ、作った人ってこの家にいるのか?」 「芙美さんですか? ええ、彼女も住み込みの家政婦さんなので、この時間だとキッチンかクリーニングルームにいると思いますよ」 「そう……」  香井は「一言、飯と洗濯してもらった礼が言いたい」と言うと、雨宮は折笠に芙美のいるところまで案内してあげるように頼んだ。

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