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第1話 - 2

田中さんの話はこうだった; 僕はこの春に大学を出て、テレビCMでも知られる大手企業に就職しました。 今回相談したいのは、会社の同期の高木という男のことなんです。 大学からの同級生で。学部が違ったので以前はそれほど親しくなかったのですが、同じ独身寮で同じ営業部に配属されてから、よく一緒に飲みにいくようになりました。 高木は見た目が華やかで、社内の女の子の同期たちからも人気で。学生時代から渋谷や六本木のクラブなどに出入りして派手に遊んでいたようです。 僕は、音楽は好きですが地味なタイプで、そういう遊びは慣れていなくて… 高木に誘われて、居酒屋で飲んだ後にクラブに連れて行かれるようになったんです。 あいつの行きつけの店みたいで、高木は友人も多いようです。僕はあまり好きじゃないですが。 合コンの誘いもよくあるのですが、高木は合コンはたいてい断るんです。 僕は、ええと……、女性が好きではないので……、何かと理由をつけて断っています。 すると、高木が僕を誘うようになって、二人で飲みに行くのが気付けばパターンになってました。 でも、高木が毎回クラブに誘うようになったので、特に僕と二人きりになりたいわけではないみたいです。 え? 僕に恋人ですか? いえ、今はいません。 好きな人も…… 大学1年の頃は憧れていた先輩と少しつきあったのですが、それっきりです。なかなか誰も好きになれなくて。 はい、問題はここからなんです。 少し前から高木が僕に、妙な競争というか、勝負を仕掛けてくるようになったんです。 舞台は主にクラブです。どちらが早くナンパに成功するかとか、何人口説けるかとか。正直、僕はナンパをしたことがなかったので最初はすごく戸惑いました。 そもそも女性が好きじゃないですし。 でも、高木がノリノリなので僕もつい酔った勢いで2、3回、高木のゲームに乗っかったんです。 楽しかったか? うーん、 まあ酔っぱらいのゲームとしては、その時は楽しかったですね。釣り堀とかゲームセンターのモグラたたきとか、そんなノリで。 ナンパした後ですか? いや、何もないです。一、二杯お酒をおごって少ししゃべって、それでおしまいです。 はい。それだけです。 ノリでやってましたけど、何回かするとバカバカしくなってしまって。知らない女性とくだらない話をしたところで別に楽しくも何ともないですからね。おごるお酒だって安くないし。本当に、単なる酒の勢いに任せたゲームというだけてしたから。 それで僕は高木に、もうこのゲームはイヤだって言ったんです。 会社で女癖が悪いみたいな噂が広まるのもイヤだとも言いました。 そうすると、あいつは別の提案をしてきたんです。 それは、ターゲットを一人に絞って、どちらが先に落とせるかというものでした。 これまたバカバカしいとは思いましたが、引くに引けず、それに高木に負けるのがイヤでたまらなくて、先週末その勝負に乗ったんです。

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