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第1話 - 3

高木が指定したターゲットは、男でした。 僕はギョッとしました。 まさか、僕がゲイだって知っているのかと。 僕は、自分の性癖は大学でも会社でも誰にも言っていないので。 高木は女の噂ばかりで、ゲイだとは聞いたことがなかったし。 なぜ男なんだ、って聞きました。 「ハードル上げるためだよ。 それに今時のBL人気は知ってるだろう? 男同士がイチャついたって、誰もおかしいなんて思わないさ」 僕は男の人が好きですが、誰でもいいというワケではないんです。そんな適当なナンパなんてしたこともなかったし。高木に付き合わされるまでは。 でも、その時はどうしても負けたくなくて、僕は結局本気で頑張りました。結果、僕が勝ちました。 勝ったといっても、その後少し話しただけで別れたんですけどね。 ところが次の朝、貸していた本を返してもらおうと高木の部屋を訪れると、なんと、前の夜にナンパした男が高木と二人でベッドにいたんです。 僕は驚きました。 なんというか、すごく屈辱的でしたね。 その男は知り合ったばかりで好きでもナンでもなかったけど、僕は強い口調で怒鳴りました。 「おいあんた、なんでここにいるんだよ。さっさと服持って僕の部屋に来いよ。僕とやりたいって言ったの、あんただろ」 高木はびっくりしていたと思うけど、僕は頭に血が上って、あいつがどういう顔していたのか全然覚えていません。 ナンパした野郎は、素直に僕の部屋に来ました。 ちょっと嬉しそうな顔してたな。 はい、そしてヤツとやりました。 イヤだとかそういう気持ちさえなくて、僕はただもう、意地になっていました。 まあ久しぶりだったので、それなりによかったといえばよかったんですけどアレの形がちょっと…… あ、こんなこと言っていいんでしょうか、すみません そうなんです、アレの形が妙に平べったくて、それがイマイチ僕は…… いやそういう話じゃなかったですね、 いやまあだから、こういう形のヤツもいるのかと妙な感じで、そいつとはそれっきりです。特に何の感情も湧きませんでした。 ただ高木には今もムカついてます。 高木が特に嫌いというわけではないんですが、こんなことに巻き込まれるのがもうイヤなんです。 なんで高木は僕に変なゲームを仕掛けてくるのか。意味がわからない。 次の日からですか? いえ、あいつとはそれからは話していません。 今週はお互い別のチームで客先をまわっているので、顔を合わせる時間もほとんど無くて済んでますし。 でも同じ会社で、同じ部署で、同じ寮で、これからも一緒にうまくやっていかないといけないのに、僕はどう高木に接したらいいかわからないんです。 どうしたらいいんでしょうか…… 田中さんは一気に話すと、大きなため息をついた。 先生は静かに口を開いた。 「田中さんご自身は、高木さんとどうなりたいですか?」

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