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第2話 - 2
大谷さんの話はこうだ;
一年ほど前だったと思います、
ロケハンついでに、スタッフに連れられて、二丁目の、とあるバーに寄ったんです。私はテレビ番組の制作ディレクターをしておりまして。はい。
そこである若者と出会ってしまったんです。
私は今年41歳になりますが、向こうは21歳だという。
最初はそんな気なんて全然なかったんです。
20歳も年下で、しかも男ですよ。
今は独り身ですが、5年前に離婚するまで普通に女性と恋愛して結婚していましたから。
離婚原因は、よくある忙しすぎて構ってやれなかったってやつです。
聞くとナオヤは…… あ、その若者なんですが、同業者だっていうじゃないですか。
地方局で番組ADをしていて、月に1度、仕事で東京に来ていると言っていました。
ADなんて実際ツライ仕事ですよ。
その夜は下積み時代を思い出して話がはずみましてね。
ナオヤは背が高くて割としっかりした身体してるんですが、色白で、頬も首筋なんかもスベスベしていて、女みたいな肌してるんです。
へえー最近の若者は男でもこんなに綺麗なんだなあ、なんて見てたら、ナオヤの方から誘ってきまして。
俺は、いや、私は、男はダメだって言うと、
「だったら、いい機会だから試してみれば?」
なんて言いましてね。
今、冷静に考えれば、私がディレクターだから取り入ろうとしたのでしょう。
けど私も酔っていたし、忙しくして色恋から離れていたから人肌恋しくもあり、
つい出来心といいますか。まあ試してみてもいいかなと、ナオヤと一夜を過ごしたわけです。
男とは初めてだったのですが、それが予想外によくて、ですね…… しかも20も若い子でしょう。そりゃあもうね…… 鬱になりそうな時期もあったんですが、生きていれば良いこともあるもんだと思いましたね。
もう何年も忘れていた気持ちが蘇ったようでね。何もかも忘れて熱くなって、なんとも愉しい夜でした。
その後しばらくの間は周りから「何か良いこと、ありました?」なんて聞かれたりしてね。
それっきりと思っていたのですが、ナオヤから一か月くらい経って再び連絡がありました。
もちろん、はじめから本気にはしてませんでしたよ。こんなオジサンですからね。
それでも、会えば彼の年の頃の恋愛を思い起こして、若返った気になりましてね。この年になって再び恋心を味わえること自体が愉しくてねえ……。
それで、気づけば毎月会うのが楽しみになっていたんです。
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