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第6話 - 2

は?何言ってるの?!って思いました。 その朝も彼女は、いつも通りにノロケてたし、 弟のことだって、どういうつもりなのか、と。 それで、彼がどういう人なのか、少し調べたんです。よくない噂のサークルの中心人物で、仲間うちでは有名人だとわかりました。 そのことを2人に、ですか? はい。遠回しに、ですけど。 友人には「悪い評判を聞くから、付き合わない方がいいんじゃないか」って。 弟には、世間話みたいな感じで、 「最近大学でよく聞くんだけど、●●ってサークルの〇〇って人、知ってる?すごく悪い人みたい。高校生にも手出してるらしいよ。あんたも気を付けて」 みたいな事を言いました。 反応ですか? ええ全然ダメでした……。2人ともその男にすっかりのめり込んでて。 彼女は「そんな人じゃないわ。私の彼氏を、悪く言わないで」とか 「あの人がカッコいいからって、ヒガむのはやめて」なんて言って。 弟も、「知りもしない人の悪い噂を広めるなんて、姉ちゃん人として最低だ」なんて言って。 まるで私の方が悪者です。 でもやっぱりあの男は、よくないと思うんです。 ウチの弟まであんな男に弄ばれるなんて。許せない。 先生、どうか力をかしていただけないでしょうか…… マリアさんは曇った表情で一気に話しました。 普段、私が表立って言うことはありませんが、私の家は陰陽師の家系です。 話を聞いて私は、彼女がルイ君の姉であると直感しました。 同時に、即刻手を打たねばならない、差し迫った事態になっていると胸騒ぎがしました。 「マリアさん、今日ここに来られて本当によかったです。 ここにルイ君の名前を書いてください。そう漢字でね。それから、その男と彼女の名前も書いてくれますか」 マリアさんは私の目をまっすぐに見て一呼吸おき、ペンをとりました。 その紙を持って奥の部屋に入り、すぐに式神をルイ君のもとにやりました。通常、私が式神を恋愛セラピーで使うことはないのですが、この時はそれしかないと思ったのです。 「マリアさん、急で申し訳ないが、私はこれから出かけます。明後日また来てください。処方薬を渡します」 向かった先は、マリアさんの友人宅からわずか数分の、あるマンションの一室でした。 男のサークルメンバーが借りている部屋で、目をつけた男女を薬で酩酊させては連れ込み、暴行の様子を撮影するのに使っている場所でした。 到着すると、式神がドアを開けました。 「間に合ったか?」 「はい、なんとか」 ルイ君は気を失って、バスタオルをかけられた状態でした。 その反対側には4人の男たちが、術で放心して、へたりこんでいました。

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