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第11話【圭太くんと海斗くん(大学生)】 - 1
高校からの友人、稲川圭太(いながわ けいた)くんが恋愛セラピーに来てから2カ月ほど経っただろうか。
学食で顔を合わせたので、圭太くんと圭太くんの友達・浜田海斗(はまだ かいと)くんと3人で昼ご飯を食べることになった。
「最近一緒にサーフィン行ってるの?」
「おう。海斗はまだ立てねーけどな」
「うん。意外と難しいな」
「ユミちゃんも行きたいって言うから、何回か連れて行ったんだ。
ユミちゃんの方が先に立てるかもしんねーな」
「かもな。
でも入ってるだけで気持ちいいよ、海って。ルイ君も今度行こうよ」
「うん、考えとく」
サーフィンかぁ~ 考えたことなかったけど。
「それより、ルイってさぁ幽霊とか信じる方?」
圭太くんが言った。
目が笑ってない。
何、恋愛の次は幽霊ですか。
「うーん、どうかな。たまにYouTubeで怖いのとか見る時はあるけど。
圭太くん、どうかしたの?」
「なんか最近、変な感じする時があるんだよ。何がって、よく分かんないんだけど。
海斗も最近なんか変なんだよな?」
「まぁ、うん。金縛りとか。
ってか、今まで合ったことないから金縛りかどうか分かんねーけど。
夜中ギューッとなって動けなくなったりする」
「ええっ、それ金縛りだよ! ってボクも合ったことないけど。いつ頃から?」
「ここ2週間ほどじゃね? な、海斗」
「そだね」
「き、気持ち悪ぅー! やめてよ~!
変な部屋に引っ越した? ……とか?」
「いや、引っ越してねーよ。大学入ってからずっと寮の同じ部屋。
模様替えもしてねーし」
「突然?」
「そう突然」
「怖っ」
気色悪くて思わず鳥肌。
気の利いた感想が言えない~
「気持ち悪いだろ?」
「だね」
「あ、あと、腹下してる」
あのー海斗くん、いまボクたち、食事中なんですけどー。
冗談かと思ったけど、海斗くんも圭太くんも、笑っていない。
「下痢?」
「うん」
「それ、金縛りと関係なくない?」
「でも長すぎる。もう2週間くらいずっとだもん」
「ええーそれは長いナ。変なもの食べた?」
「いや、特別なものは食ってない。だいたい圭太と一緒だし」
「オレは腹、大丈夫だもん」
「海斗くんだけ?」
「そう、俺だけ」
「変だね」
「ヘンだろ?」
そんな話をして数日後、圭太くんから連絡があった。
海斗くんが怪我で入院したというのだ。
すぐに一緒に病院にお見舞いに行くことにした。
「大丈夫かよ海斗ぉ~! 心配したぜ」
「痛てぇ。鎖骨が折れて、肋骨ヒビ入った。折れ方悪くて手術だけど、それで済んでよかったよ。アタマ大丈夫だし」
「なんでこんな怪我したの?」
「駅の階段を降りてたら、後ろから誰かに押されたんだよ。結構高いところだったから、勢いついて止まんねえの。
下まで落ちたら痛くて動けなくてさ。駅員さんが救急車呼んでくれた。下手すりゃ死んでたわ。これくらいの怪我で終わって、逆によかった」
「押した人は?」
「逃げたっぽい。上に逃げていくヤツ見えた」
「なんだそれ。許せねーな」
「許せないね!」
「オレ、犯人探すわ」
「いや、無理だろ。あの駅使ってる人すげー多いから。一応警察にも話したし」
「でもひどいぜ。許せねーな」
帰り道、圭太くんとボクで、現場の駅の聞き込みをしようってことになった。
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