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第11話 - 11

海斗くんの話を受けて先生が話した。 「生霊って、聞いたことがありますか?  さっき祓ったのは、海斗くんが見た女性の生霊です。 恐らく本人は、自分が生霊になっているなどと気付いていないかもしれません」 ユミちゃんが言った。 「トモちゃん、そんなになるほど海斗さんの事が好きだったのね……」 「好き、というよりも、恨みに近い執着ですね」 「恨み、ですか?」 「その女性はとても美人でモテると言っていましたね。プライドを傷つけられた、というか、もっと強い感情…… 恥をかかされたという気持ちがあまりにも強かったのでしょうね」 ボクも聞いてみた。 「先生、ボクが海斗くんの下痢と金縛りの事を話した時、スグにピンと来てたみたいでしたよね。あの時にはもう、分かってたんですか?」 「そうですね、ある程度は。  すごく似た話があったのですよ。何年か前の話なんですけどね。  その時は、離婚した妻が元夫に取り憑いていました。  その人の場合はバイク事故でしたけれど。  女性の方から離婚を切り出したのに、旦那さんを手放したくないという気持ちも強かったのでしょうね」 「矛盾してますね」 「そうですね。人の心や思いは複雑ですね。  誰しも矛盾を抱えながら生きているのかもしれません」 矛盾…… ボクも…… 先生も?  だとしたら先生はどんな矛盾を抱えているのかな…… それにしても、まさか生霊だなんて。 そんな事、本当にあるんだ……  しかもこんな身近なところで! 先生と知り合う前なら、信じられなかったかもしれない。 けど先生と出会ってから、自分がこの世の中で知っている事がどんなにちっぽけか思い知らされる。 世界には、知らない事の方が多いのだ。 当たり前といえば当たり前なんだけど。でもつい「そんなバカな」とか「ありえない」「信じられない」などと思ってしまう。ボクの知らない事があったって、それはボクが知らないというだけで世界には普通に在しているのに。 話もひと段落して、この日の会はおひらきとなった。 3人ともスッキリした表情だったけど、 退院したばかりの海斗くんはすごく疲れたみたい。 海斗くんに抱きかかえられるようにして帰っていった。 ユミちゃんは戸口から振り返って、意味ありげに目配せをしてきた。きっと海斗くんと圭太くんのカップリング BL 妄想中なんだろう。 ま、あの2人がお似合いっていうのは、ボクも思うけどネ。 (第11話 END)

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