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第14話 - 6

あれ? ここはどこだっけ…… そうだ、蘆屋(あしや)先生のところに泊まったのだった。 部屋を見まわすと、誰もいない。ほとんど物がなくて生活感のない、ホテルの一室のような寝室。広いベッドから起き出して、ボクはスウェットのまま隣のリビングダイニングへ行った。 ほんのりと米の炊けるにおいがする。 キッチンには田中さんが立っていた。 「ああルイ様、起きられたのですね。おはようございます。よく眠れましたか? お(なか)がお()きになったでしょう、朝食にしましょうか」 テーブルには二人分の食事の用意がされていた。 「田中さん、おはようございます。あれ、先生と暁星(あきら)さんは……?」 「暁星(あきら)様はお仕事がおありだそうで、朝早くにお出かけになりました。 優斗(ゆうと)様は書斎(しょさい)です。ルイ様と一緒に朝食をとるとおっしゃっていましたので、声をかけて来ていただけますか? 寝室の奥の扉です。ノックしてみてください」 言われた通りにノックして呼びかけた。 「ああ、ルイ君? 入っておいで」 扉を開けると、リビングくらいの広い部屋の真ん中に大きな木のテーブルがあり、片隅(かたすみ)で本を広げている先生がいた。三方の壁は天井まで古風な木の棚が作りつけられ、本、それから様々な瓶や古風な計量器などが半々くらいだろうか、ずらりと並んでいる。もう一方はレースのカーテンが引かれたまま半分は遮光のカーテンが閉められており、そのせいで部屋は朝なのに薄暗いが、それが部屋全体の柔らかい光源になって心地よい空気感がただよっている。窓の(そば)には二人掛けほどの茶色い皮革のソファが置かれている。 「よく眠れた?」 「はい。……あの、先生。ボク昨日の夜いつの間にか眠ってしまって…… すみませんでした」 「ああ、いいんだよ。昨日は本当に楽しかったね」 先生がニッコリ笑う。 「はい! ありがとうございました。 ……この部屋すごいですね。ここで薬を作っているんですか? 本もたくさんあるんですね」 「そうだね。ここで作ることが多いかな。色々な本があるから、またあとで一緒にゆっくり見よう。お(なか)空いたね、朝食にしよう」

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