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第15話 - 4

その週末は連休を利用して、俺は友人に誘われサーフィンに行った。 俺はまだ初心者レベルだが、友人は子供の頃からやっているらしくかなりの腕前だ。台風が良い位置に近づいてきているというのでかなり嬉しそう。 台風の波なんてまだ俺には無理だろうが、嬉しそうなこいつを見るのは悪くない。サーフィンしなくても、温泉入ったり飯を食ったり、宿で遅くまで部屋飲みしてしゃべるだけでも楽しいものだ。なんならあいつがサーフィンしているところを撮ってやってもいい。特に動画で撮ってやると喜ぶから。動画を撮ってやった夜は、宿で一緒に見ながら、あいつはタイミングやテクニックなど夢中でしゃべる。おかげで俺もサーフィンが愉しくなっている。 その友人というのは、大学の友人で今いちばん仲が良い稲川圭太という。初対面で「ケイって呼んでよ」と言うから、俺もカイと呼んでくれても良いことにした。高校までずっと「カイト」と呼ばれていたから「カイ」呼びは新鮮だ。 最初は金持ちのお坊ちゃま風でモテそうな面して全く信用ならねぇ印象だったが、つきあってみるとコレが意外と気持ちの良いヤツだ。 こいつは俺がずっとシモの悩みを抱えていることは微塵も知らない。俺もケイには知られたくないし、言いたくない。だって、カッコ悪すぎるだろ? 早朝ケイが車で下宿に迎えに来て、午前中海で過ごした。 ケイの予測通り、YouTubeで見たようなきれいな波が立っていた。サイズも大きく、かなり激しい。俺は迷わずカメラマンに徹した。 「うわぁ、こんないい波久しぶりだよ~!」 ボードを抱えて砂浜を走るケイ。 海面にボードを放し、俺を振り返って手を上げて見せると、ひょいとボードに乗っかって沖へ向かってパドルを始める。穴場とはいえ結構な人数が入っている。ほとんどが白いボードに黒いウェットスーツで見分けがつかない。見失わないよう目でケイを追う。 イチ早く波を追いかけ始める、あれがケイだ。 ビデオカメラの録画ボタンを押す。 もっと近くで見たい。少しズームアップ。よしこのくらいか。 あまりアップにすると、波のどこを走っているかチェックできないと後で怒られるから。 何本か乗って上がって来た。 普段よりもさらに笑顔が輝いている。 「録れた~?」 「うん」 車の後ろに積んで来たポリタンクの水を浴び、バスタオルを腰に巻いて着替えるケイ。引き締まったしなやかなカラダ。いい形してンなぁ~。 「イヤ~~~楽しかったぁ~~!」 髪からしたたる水が太陽の光を反射してキラキラまぶしい。俺は思わず目を細めた。

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