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第15話 - 7
使ってみてよく分かった。コレは凄い。
興奮冷めやらぬがこの結果を早くケイに伝えなければ。とはいえこのままでは興奮しすぎだ。
ゆっくり息を吸って、吐いて、気を鎮めるようにボトルのフタをゆっくり締め、俺は小さなバスルームの扉を開けた。
ケイはスマホの画面を眺めたまま、特に興味もなさそうに言った。
「おつかれ~ どうだったー?」
「ケイ、これ、スゴイ、マジで」
やっとひねり出した言葉が片言とか。
そこでやっとこちらに目を向けたケイは俺の異変に笑い出した。
「え何。そんな良かったの」
「良かったなんてもんじゃねー、スゴイ、マジでスゴイ。スゲーわ。お前もやってみ」
「そんなに? やってみって、オイ。でもまあ暇だしなあ。じゃチョットかしてよ」
「うん。……あんま、使いすぎンなよ」
しばらくしてバスルームからケイが顔を上気させて出て来た。
「どうだった、スゴくない?」
「スゴカッタ…… ってか、スゴイ。スゴイな。こんなん初めてだ…… it’s not just a lubricant, how do you say, delicious?」
「え、何て?」
ケイは興奮すると英語になる。
「スゴかったってこと。ただのジェリーじゃないなコレ」
「ただのジェリーって、お前、使った事あんの?」
「うん、向こうで割とセックストイズ好きな子いてさ。日本製は高性能だからって人気なんだぜ。でもこういうさ、なんていうかつけるだけでここまで気持ちいいの、初めてだ。……なあ、もう一回借りていい?」
「そうなのか。まあいいけど、これ安くねーんだぞ。お前ばっか使うなよ。無くなっちゃうだろ」
その後2回ほどケイはバスルームを出たり入ったりした。
2回目目に出て来た時にはさすがに俺も腹立った。
「おいケイ、ふざけんな。無くなっちまうだろうが。お前何考えてんだ、絶倫か?!」
「ごめんって。だってコレ、スゴいんだもん」
「『スゴいんだもん』じゃねーわ! お前なあ、俺が一体どんだけの思いでそれを手に入れたか全然わかっちゃいねーな! マジで大変だったんだぞ! それ以上使ったらマジ俺本気で怒るから!」
マジで切れそうだわ。
ところがケイのヤツ、俺の怒りより、自分の股間の方を気にしていやがる。なんて奴だ。
「おいマジで何それ。また勃たせてんじゃねーぞオラ」
「だって仕方ないじゃん、僕の意志とは関係なくこうなっちゃうんだもん……」
もじもじ言いやがる。
そして次の瞬間、ケイのヤツ、パッと顔を上げた。
「いい事思い付いた! ねえカイ、一緒にやろうぜ!」
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