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第2話

 食べていない身体に寒さはこたえた。身体に燃やす燃料がないのだから身体が寒いのはあたり前だ。ジュリアンは、痩せた身体を縮こまらせた。幻にすがりつくジュリアン。  凍える戸外で、窓から震えながら暖かい家族の団欒を見つめる。家族の団欒、程遠い夢。それは現実にそこにあるのに、遠く離れている。凍ったガラスで。  ジュリアンの心も凍てついている。革の手袋をしてもかじかむ指を、手袋から出して、はあっと息であたためる。そっと窓ガラスに手を触れる。凍ったガラスが指に張り付いた。あっ、とジュリアンは声をあげて、指をはがす。ヒリヒリした指先の痛み。ジュリアンは手袋を再びはめる。  人々の笑顔、暖かい暖炉の火、子どもたちの笑顔、お父さんとお母さん、優しそうな。優しそうな、子どもたちを見る目。小さな男の子を高々と抱き上げるお父さんの腕。涙で視界がぼやけていく。  窓を覗くジュリアンの肩に、人の手が置かれた。大きな男の手。革の厚い手袋をした大きな手が、背後から、高いところから、重みを持って、ジュリアンの肩に置かれた。ジュリアンは振り返った。知らない人だった。ふさふさの毛皮の帽子で顔はよく見えないが、口ひげを生やした、顎の張った、大きな男だ。

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