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第8話

 家には、癇癪もちの、おかみさんがいて、ジュリアンを追い出した。男はジュリアンを手放したくないようだったが、恐妻家の男は、ジュリアンに、男に似て不器量な娘のお古をありったけ着せた。これから寒くなる頃だったからだ。男は、ジュリアンに籠にマッチを入れて売るように言った。わずかな売り上げだが、食べ物が買えた。男はこっそり、ジュリアンに寝る場所を与えた。そしてこっそりジュリアンの身体を触った。  マッチだけでなく、ジュリアンを買いたがる者がいることをジュリアンは知った。豪勢な食事や、豪華な宿や、きれいな服を与えられることもあった。けれどクリスマスシーズンになると、家族が集まるために、ジュリアンは邪魔にされた。客たちは、妖しい小さな愛人を家族に知られるわけにはいかなかったからだ。それでジュリアンは、その日、寒さに凍えていた。  でもどうやら、これで宿にも食事にもありつけそうだ。あのまま路上で凍えていたら命も危なかっただろう。ジュリアンは、口髭を生やした、顎のいかつい、身体の大きな男の部屋について行った。  ジュリアンは、口髭のある大柄な男に腰を抱かれて建物の石段を上がった。路の脇に、除けられた雪が積み上がっていた。雪が凍って石造りの建物の入り口もつるつるしていた。滑らないよう足を垂直におろして、ジュリアンは進んだ。石段を上がったジュリアンは、男の部屋に連れて行かれた。男の部屋は階段をいくつか登った先にあって、部屋は、慎ましかった。

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