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第15話

 大学を卒業すると、ジュリアンは、また付属学校の教職に戻った。学士の学位を得て戻ってきたジュリアンには、ラテン語教師のほかに、付属学校の副校長の役職が与えられた。そこで、ジュリアンは、ジュリアンと同じような境遇や経験のある子どもたちへの援助のあり方を工夫した。孤児院のほかに寄宿舎も作り、両親はあるものの、一緒に暮らすのが適切でない子どもたちも預かれるようにした。寄宿学校は評判になり、各地から親や子どもたちがつめかけた。ジュリアンは毎日、大わらわだった。自分のつらい経験が役立って、今はつらかったことも神に感謝するようになった。ジュリアンは充実した日々を送った。  校長が高齢のため隠居を申し出たので、ジュリアンは若き校長に就任した。ジュリアン先生は、親にも、子どもたちにも、先生たちにも、信頼された。誰にでも優しくて公平で美しかったので、大人気だった。

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