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第20話
ジュリアンは、独身をかたく守り、品行も方正にして、街に外出すらほとんどしないほど注意していたが、実は、いまだに異常な性的幻想に悩まされていた。幼い時期にしたセックスが忘れられなかったのだ。そして目の前にいるミドルティーンの少年たちを見ると、ぐらぐらした。自分は、傍目には、もう立派な大人で、地位も名誉もあったけれども、心の一部は、完全に子どもだった。それが、人々の感じやすい子どもの部分や、現役の子どもたちの心に触れて、交感できる一面もあろうが。強烈な満たされない寂しさが、身内を襲う時は、思わず自分が自分たちの生徒くらい、あるいはもっと幼い少年であるかのように感じるのだった。
「今でも苦しんでいるの?」
ヨーンが、ジュリアンの手を握ったまま立ち上がって、間近でジュリアンの目を見た。唇がくっつきそうだった。キスの予感がした。子どもたちにされる親愛のキスではなく。ずっとずっとしていない、封印していたキスの味が思い浮かんだ。数センチにヨーンの唇が迫った時、ジュリアンは、はっとしてヨーンの顔から身を離した。
窓から覗いている四つの目に気づいたからだった。いつもジュリアンを慕って懐いている、十四歳の寄宿舎住まいの生徒二人だった。ヨーンが、ジュリアンの視線を追って、窓を見た時、明るい茶色と暗い茶色の頭が、窓の下に引っ込んだ。
「誰?」
ヨーンが聞いた。
「君と僕みたいな生徒だ。好奇心旺盛で、可愛い」
ジュリアンは答えた。
「可愛い?」
「あ、昔のね。昔の君と僕のように……」
ジュリアンは、はにかんだ。ヨーンは可愛らしい美少年だった。立派な大人になった今も、その面影はあった。ハンサムな成人男性になっていた。いや、立派な身分と態度を別にすれば、年よりも若く見え、青年といってよかった。そう、ヨーンは美青年だった。そう意識してしまうと、恥ずかしさに顔をあげることができなくなった。
「愛し合っているの?」
ヨーンが聞いた。
「え?」
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