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第22話
身体中が痺れるような感覚がした。乾いた唇が、しっとりと熱を持った。なめらかな感触がしたかと思うと、唇の内側の濡れた感触がした。ぬるぬると濡れてすべる感触は、興奮した性器の触れ合いを想起させた。あっ、あ……。ジュリアンの脳裏に、ヨーンの喘ぐ姿が浮かんだ。あの頃より、今だったらもっと激しく求めあえるだろう。
「ジュリアン、下だけ脱ぎましょうか」
ヨーンが熱い唇を離した。
「ああ、ヨーン」
二人は、慌ただしくトラウザーズを脱いだ。
教職員用の私室は小さな二室に分かれていて、ジュリアンは、手前の居間部分を本棚と机と椅子のある書斎に使い、奥の部屋を寝室に使っていた。寝室へ誘いたかったが、そんな余裕も勇気も、今のジュリアンにはなかった。
ラテン語の背表紙が並ぶ本棚と、古めかしい革張りの椅子、かたい木の机、読みさしの本が数冊重ねて置いてある木の椅子。開け放した寝室へのドアから明かりが差し込んでいた。寝室の窓には薄地のカーテンが掛かっていた。
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