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第26話

「大丈夫」 ジュリアンは応えた。  恥ずかしながら、ジュリアンは、アナルを使った指での手慰みが、やめられないでいた。仕事がうまくいかずストレスのたまった時や、埋められない寂しさに心が折れそうになった時など、自室でこっそり肛門性交を模した自慰をした。夜を待てず、昼間、資料を取りにいくふりをして、自室に戻り、自涜に耽ることもあった。そんなことは、誰にも知られてはならないと思っていた。品行方正なジュリアン校長の爛れた私生活……。肛門を使った自慰がやめられないなどと人に知れたら、さぞ面白おかしく噂されることだろう。後援者もあきれて離れていくし、手のひらを返したように、聖職者の不祥事のように新聞も書き立てるだろう。怒った生徒の親が、子供を返せと要求してくるだろう。ジュリアンが、子どもたちに、何の危害も与えていないとしても。  そんな不安に怯えるジュリアンに、ヨーンの声が、遠慮がちに尋ねた。 「大丈夫、というのは、ひょっとして、自分でしているから、ということ?」 「うん」 ジュリアンは、正直に答えた。ヨーンに隠したところで仕方なかったからだ。何しろ、彼は、自分の幼少時の過ちを知っているのだから。 「それなら、遠慮せず」 ヨーンが、再び、押し当ててきた。だが指とは違って、なかなか入りづらかった。 「緊張してる?」 ヨーンが再び尋ねてきた。

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