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1-04-2 ジェラシー(2)

「ねぇ、雅樹。キスしてよ」 「ああ、いいとも」 僕は、雅樹の首に腕を回しキスをする。 雅樹の唇の感触。 柔らかい。 名残惜しそうに唇を離して、お互いに見つめ合って微笑む。 「雅樹。僕、幸せ……」 その時。 突然、誰かが、雅樹の肩を掴む。 「おい、雅樹! 俺と話をしようぜ!」 「翔馬か、いいぜ!」 森田君? 二人肩を組んで僕から離れる。 「ちょっと、まってよ! 雅樹!」 雅樹は、もう、僕の事なんて目に入っていない。 森田君とのお話に夢中だ。 「どうしたの! なんとか言ってよ!」 僕は、泣きそうな声で叫び続ける。 「そう言えば、雅樹。俺、お前と肩組んでて思ったんだけど、結構筋肉あるよな?」 「そっか? そういう翔馬も、結構、鍛えているよな?」 「なあ。ちょっと、比べてみないか?」 「いいぜ!」 雅樹と森田君は、上半身裸になる。 「へぇ、いい筋肉してるぜ。翔馬」 「ははは、雅樹もな」 二人して、互いの体を触りまくる。 時には、優しく指先を滑らせ、時には、手のひらで激しく揉む。 次第に、二人の呼吸が荒くなる。 「はぁ、はぁ、なぁ、翔馬。お前の体触っていたら、ゾクゾクしてきたよ……」 「はぁ、はぁ、俺もなんだか変な気分になってきた……」 「まじか? はぁ、はぁ、なぁ、翔馬。ちょっと、舐めていいか?」 「いいぜ。うぅ、乳首はよせって……雅樹……」 森田君は、乳首を執拗に攻める雅樹に、顔を赤らめて、あらがおうとする。 「うるせぇ。ちゅっぱ、ちゅっぱ。翔馬の乳首、綺麗だな、れろれろ……」 「あっ、舐めるなって、やめろって……雅樹……あっ、あっ」 「二人とも! やめて!」 僕は、溜まりかねて大声を上げる。 雅樹と森田君は、僕の顔を不思議そうに見る。 「雅樹! 森田君は友達でしょ! どうして、そんな事をするの!」 「ん? めぐむ。友達ならこのくらいするの当たりまえだろ? 変なやつ」 森田君も、何が悪いのか、首をかしげている。 雅樹は、もう僕への興味をなくして森田君に言った。 「翔馬、そんな事より、ほら、俺のペニス舐めろよ」 雅樹は、いつの間にかズボンもパンツも脱ぎ捨てている。 そして、勃起したペニスを森田君に突き出す。 「ああ、いいぜ。うはっ。もう、そんなに固くしてるのかよ!」 「ははは。まぁな。お前のフェラ最高だからさ、想像したらもうこれよ。へへへ。さあ、頼むぜ」 「おう!」 「やめて! 雅樹! 雅樹を気持ちよくさせるのは僕なんだから! 他の人に舐めさせないで!」 僕は、必死で叫ぶ。 「お願い、お願いだから! 雅樹! 雅樹!」 はっ! 夢? 周りを見回す。 僕の部屋。いつもの朝だ。 はぁ、はぁ。 汗でびっしょり。 こんな夢をみちゃうなんて……。 やっぱり、心のどこかでは、心配なんだ。 ふぅ。 でも、夢でよかった……。 今日の授業は、全然身が入らない。 ぼぉっと考え事をしてしまう。 はぁ。 今日見た夢のせいだ。 実際には、どうなんだろう? 友達から恋心って生まれたりするのかな? そうだとしたら……。 はぁ……。 休み時間になった。 雅樹は、いつも通りフラッと廊下へ出ていく。 森田君と話をしに行くんだよね……。 胸がキュッと締め付けられる。 だめだ。 しっかりしろ、めぐむ! 森田君は、ただの仲のいい友達、だけなんだ。 それに加え、僕は恋人。 だから、嫉妬することなんてないんだ! とは、いっても……。 よし! じゃあ、こうしよう! そう、これは嫉妬とかじゃないんだ。 雅樹は、一体どんな話題で、そんなキュンとするいい笑顔になるのか、知りたい。 だから、何の話をしているのかを聞きに行く! これでどうだろう? うん。 これなら、嫉妬じゃない! はず……。 僕は、自分に言い聞かせて、雅樹を追うように廊下に出る。 ああ、やっぱり、森田君と話し込んでいる。 気付かれないように、うつむきながら、二人とすれ違う。 そして、聞き耳を立てる。 森田君の声が耳に入った。 「雅樹、お前噂になっているぞ! マネージャー達がキャーキャー言っていたぞ!」 「何だよ、噂って?」 えっ? 雅樹が噂に? 気になる……。 でも、通りすぎちゃった。 肝心なところが聞けてない。 僕は、「あっ、忘れ物……」っと、わざとらしいセリフを吐いて、引き返す。 「て、いうわけなんだよ……」 ああ、ちょうど、森田君の話が終わってしまっている……。 「まじか! 恥ずかしいけど嬉しいな!」 「雅樹、俺にも紹介しろよな!」 「ははは、どうしようかな」 「この野郎! ケチケチするなよな。ははは」 二人は肩を組んで大笑いした。 嫉妬しないっていっても……。 ああ、なんていい笑顔をするんだ。雅樹は。 胸がキュンキュンしちゃうよ。 本当に、森田君と話す雅樹は楽しそう。 ん? ちょっと待って……。 そう言えば何の話をしていたんだろう。 マネージャー達がキャーキャーと噂。 恥ずかしいけど嬉しい。 森田君に紹介する。 うーん。 もしかして……これは。 恋バナでは!? 話をまとめると……。 雅樹に彼女がいるのを部のマネージャー達にバレて、森田君に彼女を紹介する、ってこと?? 筋は通っている。 僕の他に彼女がいるってことなの? 心臓の鼓動が早くなる。 ちょっと、待って……。 落ち着こう。 そんな事ってある? でも……もしかして中学の時付き合っていた彼女とか……。 別れたって噂は嘘? 考えてみると、雅樹の口から直接聞いたわけではない。 だから、可能性はある。 もし、これが本当なら、森田君に嫉妬どころではない。 僕の嫉妬の矛先は、一気に、中学時代の謎の彼女にスイッチした。 僕は悶々としながら一日を過ごした。 夕ご飯を食べている時も、お風呂に入っているときも、頭の中をぐるぐると駆け巡る。 ベッドに入って天井を見る。 ふぅ。 大きなため息。 こうやって、あれこれ考えても結論はでない。 「よし! 明日のデートでは思い切って聞いてみよう!」 ショッピングモールのフードコート。 今日は、雅樹の部活が遅くまであった。 だから、話せる時間があまり無い。 でも、絶対に今日聞くんだ。 僕の決心は固い。 ドリンクを買って、ポテトも買った。 よし! 僕は、腕まくりをする。 「なぁ、めぐむ。今日はどうしたんだ?」 「うん。ちょっとね……」 雅樹は、ポテトを食べ始める。 「うまっ!」 幸せそうな顔。 ああ、いいなぁ。ほんわかする。 はっ。 いけない、いけない。 僕は、自分のほっぺを両手でパチッと叩いた。 雅樹は、どうしたんだ? と僕の顔を見る。 よし。 戦闘準備完了。 僕は、話し出す。 「雅樹、正直に言って!」 雅樹はポテトを食べる手を止めた。 「どうしたんだ? めぐむ」 「僕の他に付き合っている人いる? 女の子……」 僕は、練習してきた言葉を一気に吐き出す。 雅樹は、口をポカンと開けた。 「へっ? いきなりどうしたんだ。そんなのいるわけないだろ?」 「本当に?」 「本当」 雅樹は、不思議そうに小首を傾げた。 「一体どうして、そんなことを聞くんだ?」 「だって……僕、聞いちゃったんだ。森田君と話しているところ……」 雅樹は、ちょっと怒ったような口調。 僕は、しゅんとする。 「翔馬と? どんな話だ?」 「雅樹が付き合っている子がいて、その子を森田君に紹介するって話」 恐る恐る上目遣いに雅樹を見る。 「へっ?」 「ぼっ、僕だって、聞きたくて聞いたんじゃないんだ……耳に入っただけ。ねぇ、雅樹。正直に言ってよ!」 必死に訴えかける。 雅樹は、急に吹き出した。 「ぷっ! ははは。何だそれ? 初耳だな」 「えっ、でも、確かに……」 「うーん。最近、翔馬と話した事ね……」 雅樹は、目を閉じて考え込んだ。 「なんだか、部のマネージャーにもバレているって……」 「バスケね、ああ、もしかして……」 「もしかして?」 「兄貴のことだな?」 「お兄さん??」 今度は、僕が口をポカンと開けた。 「ああ、うちの兄貴はさ……」 雅樹の話は、こうだ。 今のバスケ部は弱い。 でも、数年前、すごく強かった時期があった。 そのとき、美映留高校バスケ部を率いていたのが、雅樹のお兄さん。 いまや、伝説のポイントガードとして語り継がれている。 それが、雅樹の苗字、『高坂』で、もしかしてと噂が立った。 雅樹としても、お兄さんがそんなに有名人だとは露知らず、嬉しかったとこぼす。 「まぁ、そんな訳さ。翔馬のやつも俺の兄貴にアドバイス欲しいとか言っててさ……ははは」 「おっ、お兄さん……そうなんだ……」 ホッとした、というか、僕は全身の力が抜けてテーブルに突っ伏した。 雅樹は僕の頭を撫でる。 「ははは。めぐむはまた変な心配したんだな? 俺にめぐむ以外で付き合っている奴なんていないから」 「うっ、うん。そうだよね? 疑ってごめん」 僕は顔を上げる。 そこには雅樹の優しい顔。 「いいさ。さぁ、食べようぜ! ポテト!」 「うん!」 雅樹は、屈託のない笑顔で、今日の出来事を面白おかしく話す。 僕は、相槌を打ちながら、一緒になって笑う。 ああ、本当に幸せな時間……。 そっか。 わかった。 どうして、雅樹の事を疑っちゃうのか。 今、すごく幸せ。 だからなんだ。 幸せすぎて変な心配をしちゃう。 だって、今までこんなことなかったのだから……。

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