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1-09-2 プールの授業(2)
僕と雅樹は、他の人達がプールから上がるのを横目に、最後まで残っていた。
僕はその間も涙をこらえながら、ずっと自分の両肩を抱いていた。
そんな僕に雅樹は優しい声をかけてくれる。
「大丈夫か? めぐむ」
「雅樹、ごめんね。僕、汚されちゃった」
我慢していた涙がこぼれる。
そして、声を出して泣いた。
「そんなことないよ、めぐむ……」
雅樹は僕を優しく抱いて頭を撫でた。
「俺こそ、ごめんな。気が付くのが遅くなって」
「ううん。来てくれて嬉しかった」
雅樹の腕の中で僕はそう言った。
泣いたのでしゃっくりが止まらない。
雅樹は、じっと、僕のしゃっくりが止まるのを待っていてくれた。
「めぐむ、出ようか?」
「うん。待っていてくれてありがとう」
僕と雅樹が更衣室に戻ると、もう誰もいなくなっていた。
僕達のプールカバンだけがぽつりと棚に置き去りになっている。
僕は改めて雅樹にお礼を言った。
「雅樹、ありがとう。雅樹が助けてくれなかったら、僕は先生に……うぅ」
また泣きそうになるのを我慢する。
本当に悔しい。
なすすべもなく、されるがまま。
僕は、唇を噛みしめる。
そんな僕を見て雅樹が声を荒げて言った。
「佐久原の野郎、本当にひどい奴だよ。ムカつくよ。あいつ」
そして、何度も繰り返し罵声を吐く。
「だめだ、我慢できない! 学校に直訴しよう!」
「雅樹、やめて!」
雅樹は僕の声にビクッとした。
「学校に直訴なんてしたら、大問題になっちゃうよ。佐久原先生みたいな卑怯で狡猾な人は、きっと都合よく逃げると思う。僕は、雅樹が心配。僕のために、雅樹に迷惑がかかるのは絶対にいやだ!」
僕はそう言って、雅樹の体を抑えるように抱き付く。
行き場のない怒り。
雅樹は棚をドンドンと叩いた。
「あーもう。じゃあ、どうしたらいいんだ! 畜生!」
雅樹は拳を固めたまま、頭を垂れた。
僕は雅樹に提案した。
「ねぇ、雅樹。お願いがあるんだけど……」
「どうした、めぐむ? 俺にできることなら、何でもするぞ」
雅樹は僕の両肩掴んで言った。
言いずらい。
でも、先生に触られた感覚を早く忘れたい。
だから、これしかない。
「佐久原先生に触られたところ、雅樹が触って忘れさせて……」
雅樹は、コクリと頷いだ。
僕は更衣室の長椅子にうつ伏せになる。
「雅樹、僕の脚を触って」
「こうか?」
雅樹は僕のふくらはぎに両手を付ける。
そして、マッサージするように前後に圧を掛ける。
雅樹の手の温もり。
「あぁ、雅樹。気持ちいい」
「そうか。次はどうすればいい?」
「膝の後ろ。そして、だんだん上に、そうそう。太ももの後ろ」
本当に気持ちがいい。
運動部なら、こんなマッサージは普通なのだろうか。
雅樹の手つきは慣れているようだ。
でも、やばい。
太ももの辺りまで来ると、体が変に意識してしまう。
「あっ、あっ。雅樹……」
喘ぎ声に似た声が勝手に出てしまう。
そして、時折ビクっと体を震わす。
「雅樹、僕のお尻を触って。ううん、思いっきり揉んで」
「これでいいか?」
雅樹に大きな手が、僕のお尻を鷲掴みにし、揉みほぐし始める。
プルっとふるえるような感じ。
あっ。
雅樹に触られているんだ。
だから、こんなに気持ちがいい。
「雅樹、気持ちいいよ。これなら、佐久原先生に触られた感覚なんてすぐに忘れられそう。あっ、だめ」
「めぐむのお尻って柔らかいな」
「やめてよ。恥ずかしい!」
「でも、ほら、この揉み心地」
「あん、雅樹、そんなに強く揉んだら僕……」
雅樹の触り方。
すこし乱暴だけど、気持ちいい。
「あぁ。あん。ちょっと、そんな触りかたしたら……」
声がでてしまう。
あぁ、感じちゃうよ。
はぁ、はぁ。
吐息が漏れる。
「ねぇ。雅樹。その、言いにくいんだけど」
「どうした?」
雅樹が僕のお尻を触る手が止まる。
「その、乳首も触って……ほしい」
「乳首も触られたのか? 先生に?」
「うん」
「よし、表を向いて」
僕は雅樹の言う通り、仰向けになる。
雅樹は、ゆっくりと僕に覆いかぶさる。
トクン。
恥ずかしい。
僕は顔を横に背け目をつぶる。
「さわるよ、めぐむ」
「うん……」
雅樹は、乳首の先を指の腹でコリコリと触り始める。
自分の乳首がピンと立った感覚。
「めぐむ、綺麗だよ。舐めていい?」
「うっ、うん……」
敏感になった先のところを、雅樹の舌が容赦なく攻める。
舌のざらざらした感じが堪らない……。
体は正直に、ビクン、ビクンっと反応し始める。
気持ちいい……。
僕は、長椅子のヘリをギュッと掴み、体がよがってしまうのを必死に我慢する。
雅樹の愛撫はエスカレートしていく。
舌でれろれろと舐めまわした後は、ちゅぱ、ちゅぱ、と吸い付く。
あっ、あっ、だめ。
雅樹に吸われていない方の乳首は、指先で摘まむようにもてあそばれる。
あ、あん。
気持ち良くてボォっとしてきちゃう。
でも……。
このまま気持ちよくなっちゃだめだ。
「まっ、雅樹。ありがとう……もう、大丈夫。先生に触られた感覚はすっかりなくなったから」
やっとの思いで声に出す。
「次が最後……」
「うん。今度はどこだ?」
言いにくいけど、僕は勇気を振り絞って言った。
「その、ペニスなんだ……」
「えっ? あいつ、ペニスまで触ってきたのか?」
「うん」
「なんて奴だ。まったく。分かった、めぐむ。俺が、しっかりとあいつの触った感覚なんて忘れさせてやる! よし、めぐむ! 水着脱がすぞ!」
「うっ、うん」
僕は腰を少し浮かし、脱ぎやすい体勢を取る。
雅樹は僕の水着を一機に下ろしにかかる。
えっ?
そんないきなり。
僕の勃起したペニスが水着に引っかかる。
「あんっ、いっ、痛っ……」
思わず声が出る。
「めぐむ、勃起している。もしかして、あいつに触られた時もか?」
「ううん。いま、雅樹に愛撫されて、気持ちよくなっちゃった……」
「そっ、そうか。よかった……」
雅樹は、嬉しそうな表情をした。
「だから、優しくして……」
僕がそう言い終わる前、雅樹は、そのまま強引に水着をはぎ取った。
「あっ、んあっ……」
ペニスの敏感な部分が水着に擦れて、快感が体中を巡る。
背筋が弓のようにしなる。
はぁ、はぁ。
僕は、息絶え絶え、無造作に放り出された水着を見つめた。
雅樹は、僕のペニスの先端を、手のひらでなぞらえながら、優しく包むように愛撫をする。
敏感になったペニスは、こすられる度に刺激が電気にように走る。
あぁ、気持ちいい……。
ペニスの先から汁がでてきた。
雅樹は、ぎゅっと握ると、引っ張るように激しくしごき始める。
「ちょ、ちょっと、そんな乱暴にしごいたら。とっ、とれちゃうよ。僕のペニス」
雅樹は、突然、僕のペニスをパクっと咥えた。
えっ? 雅樹が僕のをフェラ?
「いっ、いいよ。雅樹が、僕のなんか……」
「れろれろ、何言っているんだよ。あいつが触った感覚を忘れたいんだろ。このくらいしないと……ちゅっぱ、ちゅっぱ」
「あっ、あっ、だめ……雅樹」
雅樹が、僕のを舐めるなんて。
僕のなんて、汚いよ。
いいよ、雅樹。
そんな……。
ああ、でも、なんて気持ちがいいんだ。
好きな人に愛撫されている。
愛情が伝わってくる……。
ぴちゃ、ぴちゃ。
雅樹が、僕のを舐めるいやらしい音。
ペニスが、ビクン、ビクン痙攣する。
体が火照って、全身がペニスになったよう……。
雅樹の愛撫に体中で反応しちゃっているんだ。
ああ、もうだめ……。
「あっ、あっ。雅樹、いきそう! あーっ、いく!」
頭の中が白くなった。
ドピュ、ドピュ。
ペニスの先から熱いものが噴き出す。
そして、その後も痙攣しながら、トクトクとおつゆが流れだす……。
ああ、僕はいってしまったんだ。
はぁ、はぁ。
とても気持ちよかった……。
僕は放心状態のまま、しばらく余韻に浸っていた。
雅樹は、僕の傍らに立ち、心配そうな顔で僕に尋ねた。
「なぁ、めぐむ。どうだ? まだあいつの触った感覚はあるか?」
「雅樹、ありがとう。もう大丈夫」
雅樹は、ホッとした顔つきになった。
僕は長椅子に仰向けのまま、雅樹を見上げる。
雅樹は、体を屈めて、優しく僕の額にチュッとキスをした。
あぁ、雅樹は優しい。
どうして、こんなに優しいんだろう。
僕は、また涙が出てくるのが分かった。
でも、これはさっきの涙とは違う。
嬉し涙。
雅樹は、黙って僕の涙を拭ってくれる。
そして、僕の頭を優しく撫でる。
「今度から、プールの時は、俺が常に見張っていてやるからな」
「ありがとう、雅樹……」
「だから、もう泣くなって、めぐむ」
「うん」
僕は、そう答えたけど、とめどなく出てくる涙を抑えられずにいた。
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