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1-13-1 二人で海へ(1)

夏休みのある日。 僕と雅樹は二人で海に遊びに来た。 「なぁ、めぐむ、気持ちいいな!」 「うん。とっても!」 晴れ渡る青空と、一面に広がる海。 海岸線はずっと砂浜が続いている。 ギラギラと照り付ける真夏の太陽。 僕はまぶしくて、手をかざす。 潮風が気持ちいい。 「ほら、いくぞ! めぐむ」 雅樹は海の家の方に歩き出していた。 「雅樹、まってよー!」 僕は雅樹の後を追いかけた。 数日前。 図書委員の当番の日。 僕は図書室の端っこの席でお昼を食べていた。 そこへ、雅樹がひょこりと現れた。 「よっ! めぐむ」 「あれ、雅樹? 部活は?」 「昼休憩。ちょっと話があってさ」 雅樹も夏休みだっていうのに毎日のように部活がある。 「めぐむ、今度の休み、海いこうぜ!」 「えっ? 海?」 僕は泳げないし、貧相な体を人前にさらすのは気が進まない。 「海か……」 悩んでいる僕の顔を見た雅樹は耳元で囁く。 「男同士でも海ならおかしくないし、それに、いちゃいちゃできるぞ」 えっ! いちゃいちゃ? みるみるうちにテンションが上がってくる。 答えは決まっている。 「うん。雅樹がどうしてもって言うんだったら、いいよ」 「めぐむなら、そう言ってくれると思ったよ。ははは」 あれ? なんか、うまく乗せられた気もするけど。 まぁ、いいか。 あっ、そうだ。 海だったら、水着がいるよね。 「雅樹、ごめん。僕、水着もってないや」 「あぁ、めぐむは学校の水着でいいよ」 「ほんと? 一緒にいて雅樹が恥ずかしくないんだったら、そうするけど」 「おう。めぐむは、目立たないほうがいいからな」 雅樹の言葉に僕はピンと来た。 それって、佐久原先生みたな人がいるから、ってことだ。きっと。 「それじゃ、そういうことで」 雅樹はそう言うと部活に戻っていった。 海の家で僕と雅樹は着替えをした。 僕は着替えを済ませ、浮き輪の準備をしていると、更衣室から雅樹が出てきた。 「よっ、またせたな」 えっ。 僕は雅樹の姿を見て驚いた。 「雅樹、その水着。すごいね……」 雅樹の水着は、競泳用のブーメランパンツ? なのか、ものすごく布の面積が少ない。 やばいよ。 セクシーすぎる。 あまりじろじろ見ないようにしようと伏せ目がちにした。 でも、どうしても、もっこりしているところに目がいく。 「どう? ちょっと恥ずかしいんだけど。気に入ってくれた?」 そう下半身を突き出してみせる雅樹は、ちっとも恥ずかしそうには見えない。 厚い胸板、そして割れた腹筋から、細めの太ももまでのボディラインに、それはごく自然に映る。 その水着の専属モデルのようだ。 でも、なんだろうか。 見ている僕が恥ずかしくなる。 「気に入るもなにも、目のやり場に困るよ……」 「そう言うなよ。ははは」 雅樹は、僕の耳元でささやいた。 「秘密だけど、興奮するとさ、はみ出すんだよ」 「えっ? なんでそんな危ないの穿いてくるの! もう!」 雅樹は、ははは。と笑った。 「いいか、めぐむ、絶対に刺激するなよ! いいな。絶対だぞ!」 「なにそれ? フリ? まったく、雅樹ったら。ふふふ。冗談ばっかり言って!」 とはいうものの……。 あそこの部分が気になってしようがない。 本当に雅樹の大きなペニスがあんな小さいところに収まっているのだろうか。 どんな風に収まっているのだろう。 興味津々。 ちょっと触ってみたい。 はぁ、はぁ。 なんか、興奮しちゃうな。 ふぅ。 ちょっとだけなら触れてもいいよね? うん。 平気、平気。 僕は誰も見ていないのを確認すると、もっこりしている部分を下からなぞるように触った。 雅樹が、うっ、と声を上げる。 僕が突然、触るのでビックリしたようだ。 僕は、触った手の感触で腑に落ちた。 なるほど。 確かに、元気のないときのあそこの形と硬さ。 うん。ギリギリで入っているって感じだね! 「おい、めぐむ! フリじゃないって! やばい!」 雅樹が慌てた声を出す。 水着のあそこの部分を見ると、むくむくと膨らみ、水着の生地が張り裂けんばかりにぴちぴちになっている。 雅樹のペニスが大きくなっているんだ。 そして、堪りかねたように、水着の上部から、ペニスの先端の部分がちょっこりと顔をのぞかせた。 あぁ。まずい! 僕は思わず、手に持っていたタオルをスッと雅樹の下半身に押し当てる。 「これ、使って!」 雅樹は慌てて、僕のタオルで前を隠す。 なにやら、すーはー、すーはー、深呼吸をしている。 しばらくして、やっと収まったようだ。 「めぐむ、ありがと。危なかったよ。ふぅ、危機一髪」 雅樹は、僕にタオルを投げてよこすと、ホッとため息をついた。 ぷっ。 僕はおかしくなって思わず吹き出した。 「ふふふ、あはは。雅樹、急に触ってごめんね。でも、おかしい!」 「まったく、めぐむは。ははは」 雅樹も僕につられて笑いだした。 「泳ごう、沖のブイの所に寝転がれるマットが浮いているんだ」 雅樹は、遊泳ラインを指さす。 僕は目を細めた。 確かにブイのところに何か板のようなものが浮いているのが見える。 面白そうではある。 でも、正直怖い。 「行けるかな?」 僕は不安そうに雅樹に聞いた。 「行けるって。浮き輪を押していってやるから」 雅樹がついているんだ。 きっと、大丈夫。 「うん」 僕は、頷いた。 雅樹は、「よし行くぞ」、と言うと、小走りで海にじゃばじゃば入っていく。 僕は、あわてて浮き輪をくぐり、雅樹の後に続いた。 ブイまでの道中はとっても快適だった。 ゆらゆら揺れているだけで、雅樹が押していってくれる。 途中から足が付かなくなって、猛烈に不安に襲われた。 でも、それを雅樹に言うと、 「大丈夫、俺が付いているから」 と言って、手を握ってくれた。 そんな風に優しく勇気づけてくれる。 ブイのところには、確かに大人が5、6人は寝転がれそうなマットが浮かんでいた。 まだ、誰もいない。 雅樹は、ザバッと手をついて乗っかる。 そして、手でひさしを作り遠くを眺めた。 「あー、気持ちいい。いい景色だ。めぐむも早く上がってこいよ」 浮き輪だから、ちょっと手間取ってしまう。 「ちょっと待って。よいしょ、あっ」 僕がやっと上れそうだ、となった時。 水着がマットに引っかかって、お尻がぺろんと丸見えになってしまった。 「めっ、めぐむ。ちょっとそれやばいって」 雅樹の声。 僕は慌てて、水着を引っ張る。 でも、紐が引っかかっているのか、なかなか穿けない。 焦れば焦るほど、手間取ってしまう。 あたふたして、ようやく水着を腰までずり上げた。 そして、やっとのことでマットに上がりごろっと転がる。 ふぅ。 ひどい目にあった。 ふと、雅樹を見上げる。 あっ! またペニスの先がはみ出している。 「雅樹! 出てるよ!」 雅樹は、ボォっとして、僕を見ていたようだ。 僕の声に、はっ、として声をだす。 「うわぁ」 自分のペニスがはみ出していたことに気が付いていなかったらしい。 慌てて前を隠そうとする。 「まずは、これで隠して!」 僕は浮き輪を素早く渡した。 周りを見ると、一組のカップルが抱き着きながら近づいてきていた。 「もう、あぶないよ。雅樹」 「ふぅ、あせった。でもさ、いまの、めぐむが悪くない?」 「悪くないよ!」 まったくもう。 雅樹はすぐに欲情しちゃうんだから。 クスッ。 まぁ、嬉しいけど……。 浜辺に戻った僕達は、ビーチボールで遊ぼうということになった。 ボールに空気を入れパンパンに膨れたところで、水際まで移動する。 ひざ下ぐらいの場所。 ここなら、飛びついても痛くないから思いっきりやれる。 お互い距離を取る。 「よし! いくぞ!」 雅樹はサーブの構え。 「うん」 「それ!」 ポーンと音がすると、ビーチボールがやまなりに弧を描く。 僕は難なく打ちかえす。 「めぐむはバレーボールは結構できるんだな。ハイ!」 「まぁね、そうなんだ。ハイ!」 ラリーが続く。 はぁ、はぁ。 楽しい! 「じゃあ、これは取れるか、ソレ!」 雅樹が少し本気を出して打った。 近くだけど、早い。 僕は飛びつく。 取れそう。 でも、ちょうど波が来て顔にかかる。 ざぱーん! 「あぁ。おしい!」 雅樹の声。 僕は、手をついたまま振り向き雅樹を見る。 「こんなの無理だから。あたた」 「めっ、めぐむ! やばい。お尻をそんなに突き上げて、なんてセクシーな格好を……」 セクシー? 確かに、女豹のポーズとも言えなくもない、けど。 あっ。 もしかして、また? 僕は、慌てて雅樹の股間を見た。 やっぱりだ。 「ちょっと、まずいよ! 雅樹!」 僕は、いそいでビーチボールを雅樹に渡す。 でも、雅樹はしゃがんで難を逃れていた。 座ると下半身はちょうど海の中に隠れる深さ。 「危なかった。いまのは危なかった……」 雅樹はほっとした顔で言った。 少し離れた波打ち際には、子供たちが砂遊びをしている。 僕はそれを横目でみる。 「ほんとに……」 僕も雅樹の前に座り、足を延ばした。 僕はふと雅樹に言った。 「ねぇ、雅樹。もしかして、わざと、していない?」 僕はじとっと雅樹を見る。 「誤解、誤解だって! いまだって、めぐむがエッチな格好をするからだろ?」 「こんなの、エッチな格好に入らないよ!」 「実はさ……」 雅樹は、話し出す。 「こうやって、めぐむと一緒に海にくるだけで、俺ドキドキしているんだよ」 照れているのか目を逸らしながら言う。 「だから、めぐむの水着姿を見ているだけで、その、ちょっとな、気を抜くと興奮しちゃうんだ」 えっ? 雅樹がずっとドキドキしていた? 僕を見て? 「だからさ、学校の水着でって言ったのはいつものプールの格好なら少しは我慢できるかなぁ、と思ったわけ」 トクン。 やばい。 僕も心臓がドキドキしてきた。 嬉しいけど、それ以上に恥ずかしい。 恥ずかしくて、顔が熱くなるのが分かる。 「ちょ、ちょっと、こんなところで、そんな恥ずかしいこと言わないでよ!」 「いや、本当の事なんだから、しかたない。ごめんな、めぐむ」 雅樹が申し訳なさそうな顔をする。 「ううん。違う。ごめん、雅樹。嬉しかっただけなんだ。本当は、僕も雅樹を見てドキドキしている」 雅樹は僕の言葉を聞いて嬉しそうな顔をした。 「えっ? めぐむも俺を見てドキドキする?」 「うん。まあね。ドキドキする」 「本当か!」 雅樹は座ったまま両手を広げる。 「よし、俺の胸に飛び込んでこい!」 「あの、雅樹。はやく、その飛び出したものをしまってよ。話はそれからね」 僕は、さっきからずっと水着から飛び出しっぱなしのペニスを指さして言った。 「こりゃ、まいったな。ははは」 「うふふ。あはは」 僕達はまた大笑いをした。 波は、そんな二人を優しく取り囲むように打ち寄せていた。

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