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1-13-2 二人で海へ(2)
時計の針はお昼を回った。
僕と雅樹は、ずらりと並んだ海の家を見ながら歩く。
さすが夏休み。
どの店も混んでいる。
僕はお店のメニューを眺めながら尋ねた。
「ねぇ、雅樹。何にする?」
「それは決まっているな」
「当てようか?」
「おう」
僕は一瞬考えた。
でも、思い浮かんだのはこれだけ。
「ラーメン?」
「当たり! ははは」
雅樹は嬉しそうに笑う。
「ふふふ。やっぱりね」
一通り、海の家を見て回った結果、どこがよかったか?
という話になった。
「どの店でも、たいして変わら無さそうだな。そこのテラスにしない?」
「うん。分かった」
僕と雅樹はヤシの木の木陰のテラス席に腰を下ろした。
今日は朝から良く動いたからだろう。
お腹がペコペコだったので、ラーメンはすぐに食べ終わった。
僕は箸をおいて、ご馳走様をした。
「あー、ラーメン美味しかったね」
「うん。やっぱり海で食べるラーメンはうまいな」
雅樹はちょうどラーメンの汁を飲み終えたようだ。
器を置いて、水をゴキュゴキュと喉を鳴らして飲む。
ドンと、グラスを置いた。
「さて、午後もまだまだ遊ぶぞ!」
「うん、遊ぼう!」
「あっ、そうだ」
雅樹は何か思いついたようだ。
「めぐむ、もし、なんだけど……」
「うん」
「泳ぎの練習、したくない?」
「えっ。したい。すごくしたい!」
「そっか。じゃあ、すこし見てあげようか?」
「ほんと?」
「おう。俺でよかったら」
「やった! 嬉しい」
きっと、雅樹のことだ。
学校のプールの授業じゃ、到底泳げるようにならない。
そう思ってのことだ。
僕もそう思う。
あの先生の元じゃ、練習どころじゃないんだ。
よし。
雅樹の気遣いに感謝して、何かコツをつかむぞ。そう意気込んだ。
「はい、ここまで泳いでみて」
「うん。わかった」
僕はゴーグルを掛けると雅樹に向かって泳ぐ。
懸命に水をかく。
泳ぎながら前を見ると、砂で濁った水の先に雅樹の立つ姿。
雅樹の水着が目に入る。
なるほど。
さっきまでは、なんとなくいやらしい目で見ていたけど、シュンとしていてカッコいい。
そんな風に見ていた自分が恥ずかしい。
こうやって、泳げない僕を気遣ってくれている雅樹がどんなに大切な存在なものなのか。
たぶん、今日、海に誘ってくれた目的の半分は、これなんだ。
僕の泳ぎの練習。
僕はそう直感した。
雅樹は、直接は言わないんだ。
ただ、照れているだけなのかもしれない。
でも、それが、雅樹のカッコいいところの一つ。
大好き。僕の雅樹……。
そうこう考えているうちに雅樹のところに近づく。
僕は雅樹の腰あたりにしがみ付いた。
「よし、そこまで!」
「はぁ、はぁ」
「めぐむ! 泳げるじゃん。泳げていたよ」
「ほんと? なんかアッという間だった」
「うん、この調子。そうだね、あと息継ぎなんだけど……」
雅樹の教え方はうまい。
なるほど、と、僕はうんうん、と頷いた。
そして、何回か練習するうちに、コツを掴んだような気がした。
「よし、ここまでにしよう。プールだとまた感じが違うから。あとは新学期に実践だね」
「雅樹、ありがとう。本当に」
「あれ、なんで泣くんだよ。目を真っ赤にして」
「泣いてないけど。塩水が目に入っただけ……」
「そうか。うん。じゃあ、浜に戻ってすこし休もう」
「うん。いこう!」
あぶない。
せっかくの楽しい雰囲気を台無しするところだった。
感傷に浸るのはまた後で。
僕は、そう思って明るく言った。
「じゃあ、競争ね!」
「おう、負けないぞ!」
砂浜でしばらく寝ころんでいた。
バサバサバサ。
パラソルが風で音を鳴らす。
午後になって、すこし風が出てきたようだ。
気持ちいい。
雅樹は、むくっと起き上がると言った。
「さて、そろそろ、砂遊びでもしようぜ」
「いいよ」
ということで、砂埋めをすることになった。
僕と雅樹は穴を掘り始めた。
本格的な穴になってくる。
二人とも汗を拭いた。
「よし、このくらいかな。じゃあ、ジャンケンしようか」
「うん。それじゃ、ジャンケンぽん!」
「おいおい、めぐむ。まだ砂かけるのかよ」
「もうちょっと!」
ジャンケンは、僕が勝った。
それで、雅樹は埋もれることとなり、僕は一緒懸命に砂をかけている。
僕は念入りに砂を盛っていく。
叩いては盛る、叩いては盛る。これの繰り返し。
ふぅ。
汗を拭いて、出来栄えをチェックした。
よし。
これなら、抜け出すのは難しいはず。
僕は、雅樹に前に仁王立ちをした。
「うん。さぁ完成! どう? 動ける?」
雅樹は、僕を見上げてもぞもぞしだす。
「多分、抜け出せるな、よいしょっと!」
周りの砂が、ボコボコ崩れ、ヒビが割れる。
まずい。
「あー、そんな……」
「ははは」
雅樹の砂まみれの片手がひょっこりと現れた。
よし。
こうなったら、奥の手だ。
「じゃあ、こうしたらどう?」
僕は雅樹の顔の前に体育座りをして、両膝をパカッと開く。
雅樹は何が始まるんだ? と僕を凝視している。
うん、うん。
よく見ていなさい。
僕は、少し腰を浮かせながら、水着の上から自分のアナルを隠すような手つきする。
極めつけは、欲しそうな艶めかしい目つきと舌なめずり。
どう?
僕の精いっぱいのエッチなポーズ。
本当はこんな格好したくないけど、さっきコーチしてくれたことへのお礼の気持ちも込めてね、なんて……。
「めっ、めぐむ……エロい。あっ、やばい。あそこがひっかっかって抜け出せなくなった……」
余裕の顔付きだった雅樹が、焦りの表情になる。
「やった、作戦通り!」
僕は手を叩いて喜んだ。
雅樹はうなだれている。
「ふふふ。僕の勝ちだよね」
「あぁ、だけど、ちょっと頼みがあるんだけど」
「うん、わかっている。出してあげるね」
僕は雅樹の片手を握ると、よいしょ、っと引っ張る。
「いや、ちがうんだ……」
「えっ? なにが?」
「今度、エッチのときそのポーズしてくれないか?」
へっ?
目がまんまるになる。
そして、急に恥ずかしくなった。
「そんなの、やだよ!」
「めぐむ、何照れているんだよ。ケチ! って、砂をかけるなよ! 口に入る!」
雅樹の砂を落とそう、ということで、二人で海に入った。
腰の辺まで来たところで、僕は突然、雅樹に勢いよく水をかけた。
雅樹が手でよけようとする。
でも、バシャバシャかかる。
「めぐむ! そんなにかけるなよ」
「だって、砂を落とさないとでしょ。ふふふ」
僕は得意になって、これでもか、これでもかと水をすくっては掛ける。
ひるんでいた雅樹は、よーし、というと、反撃に出た。
「仕返し!」
油断していた僕は、雅樹の攻撃をもろに受けた。
「ひゃ! 目に入った!」
両手で顔を拭う。
目が塩水で浸みて、涙がでてくる。
「もう、ひどいよ雅樹!」
泣きそうな声で言った。
「ははは」
雅樹の楽しそうな笑い声が聞こえる。
悔しい。
でも、そんなのは雅樹の笑顔で吹っ飛んでしまう。
「ねぇ、雅樹! 僕、すごく楽しい!」
「俺もだ!」
少しの間があった。
雅樹は少し照れながら言った。
「なぁ、めぐむ、抱きついていいか? さっきは、照れ隠しで言ったけど、今は本気なんだ」
ドキ。
雅樹も?
だって、僕もちょうど同じことを考えていたんだ。
「いいよ。でも、ここでじゃあ、恥ずかしいよ」
雅樹は、沖の方を見て言う。
「ちょっと、沖に行けば平気だから」
雅樹は、僕の手を引いて少し沖へと移動する。
「水面が胸までくれば大丈夫」
そこへ、波がふわっと二人を浮かす。
僕は、波に任せて雅樹に抱き着く。
雅樹が耳元でささやく。
「めぐむ、大好きだ……」
「僕も大好き。雅樹……」
日の光を浴びて、雅樹のたくましい肌が褐色に見える。
雅樹は僕の腰に手を回しギュっと僕を抱え込んだ。
雅樹の胸に顔を埋める。
「めぐむの体、あったかいな……」
「それはそうだよ。心臓がドキドキして体が火照っているんだから」
「そっか……」
「あれ? 何か当たっているよ」
もしかして……。
僕は雅樹のペニスをまさぐる。
ほら、やっぱり。
「ねぇ、ここ、もうはみ出しちゃっているね」
僕は中途半端にはみ出した雅樹のペニスを優しく撫でると、水着をそっと下ろしてあげた。
海の中だし、周りには誰もいない。
ここなら、我慢しなくていいんだ。
窮屈だったでしょ?
これで、自由におっきくなっていいんだからね。
「めぐむ、うっ、やばいって……」
雅樹が申し訳なさそうに言った。
僕は、両手で雅樹のペニスに触れた。
雅樹のペニスは、すでに最高潮に固く、大きくなっている。
「ううん。今日は頑張ったから、僕にさせて。でも、ごめんね。お口では出来ないけど……」
僕はそう言うと、先端を手のひらで撫でながら、竿をしごきだす。
ペニス君、聞こえている? もう我慢しなくていいんだからね。
雅樹のペニスは、返事をしたかのようにビクンと痙攣をした。
クスッ。
僕は、くびれの部分をなぞるように擦り、柔らかい部分を丁寧に揉みほぐす。
「はぁ、はぁ、気持ちいいよ、めぐむ」
ペニスが小刻みに痙攣を始めた。
「いいよ。いつでも出して」
僕は、イキそうになって必死にこらえる雅樹を見上げた。
かわいい。
僕は雅樹の目を見つめながら、尚も、やさしく愛撫をつつける。
目が合う。
「めぐむ、うっ、やばい出る! あーっ!」
僕はとっさに雅樹の先端部分を両手で優しく包み込む。
水中だからよくわからないけど、たくさん出たみたいだ。
ずっと痙攣を続けている。
「すっごい、雅樹の。まだ、びっくん、びっくん脈打ってる」
「気持ちよかった。めぐむ、ありがとう」
雅樹は、肩で息をしている。
「ううん。だって、今日のその水着だって、僕のために無理して穿いてきたんでしょ?」
「ははは。ばれてた? めぐむはエッチなのが好きだから」
雅樹はにっこりと笑った。
「ぷー。僕はそんなにエッチじゃないから」
「ははは。でも、楽しかったら、大成功だな」
「うん。そうだね。ふふふ」
僕と雅樹は二人して笑った。
あぁ。
なんて楽しいんだろ。
海って最高!
「さぁ、戻って、のんびりくつろごう!」
雅樹は岸を指さして言った。
「うん。でも、ちゃんと水着を履いてよ」
「ははは、忘れてたよ」
雅樹はキュッキュッと水着を腰まで上げる。
僕はその姿を微笑ましく見ていた。
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