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1-13-3 二人で海へ(3)

東の空はだんだんと暗くなってきた。 日の入りが近づき、夕日が空を赤く染める。 「まいどー」 僕はかき氷を二つ持って雅樹のもとに戻ってきた。 手が冷たくて、小走りで掛ける。 「冷たいよー。お待たせ。雅樹……」 僕は足を止めた。 雅樹は、波打ち際を歩く水着の女性を眺めている。 髪が長く、真っ赤なビキニ。 そして、揺れるような大きな胸。 僕は、雅樹に声を掛けれずに立ちつくした。 雅樹は、ふと僕の方をみた。 「おー。めぐむ。サンキュー」 「うっ、うん。冷たいよ!」 僕は、雅樹にかき氷を手渡した。 雅樹は、かき氷をシャカシャカ溶かしながら食べ始める。 「うまいな。頭がキンときたよ。ははは」 雅樹は僕の手が動いていないのに気付いたようだ。 「なんだ、めぐむは食べないのか?」 「えっ? 食べるよ。もちろん」 僕は慌ててかき氷を食べ始める。 「あっ、キーンときた。いたた」 「ははは。同じだ。ゆっくり食べようぜ」 「……うん」 僕は心あらずで受け答えをしていた。 雅樹は、かき氷を食べながら、まだ先ほどの胸の大きな女性を眺めている。ような気がした。 やっぱり、胸があったほうがいいんだ。 僕は、自分のぺったんこな胸を見る。 そんなの、しょうがないじゃん。 でも……。 「ねぇ、雅樹……」 「どうした?」 雅樹は不思議そうに僕を見る。 「ううん。なんでもない。ほら、ねぇ、夕日がきれい」 「ほんとだ」 ちょうど、夕日が水平線に沈むところだ。 水面がキラキラしている。 空は真っ赤に染まり、天頂には星が輝きだしている。 ふと見ると、もう、先ほどのビキニの女性はいなくなっていた。 なぜか、ホッとする。 僕は、雅樹の手を握った。 雅樹は、一瞬、あれ?っという表情をしたけど、そのまま握り返してくれた。 「なぁ、そろそろ着替えよう。今日は花火を持ってきたんだ」 「ほんと? 楽しみ!」 シャワールームは一つ空いていた。 雅樹は僕にどうぞの手つきをする。 「先にいいよ、めぐむ」 「ありがとう。お先に」 シャワールームに入り、カーテンを閉めた。 海の家にしてはしっかりとした造りだ。 中も広め。 僕はシャワーの蛇口をひねった。 思ったより勢いのある水量と適度な温度。 僕はシャワーの顔を直接当てる。 「あぁ、気持ちいい」 そこに、雅樹がスッと入ってきた。 「広いから、一緒に入っちゃっても、大丈夫そうだね」 「うん。大丈夫だよ」 僕はシャワーヘッドを取って、雅樹に渡す。 僕はボディソープを手に取って体を洗い始めた。 ラベンダーの匂いが立ち込める。 あぁ、気が付くとつい考えてしまう。 さっきの光景。 ずっと頭から離れない。 胸の大きなビキニの女性。 それを見つめる雅樹……。 だめだ。 一度気にしてしまうと脳裏から離れない。 雅樹をチラッと見る。 鼻歌交じりでご機嫌の様子。 よし。 言ってしまおう。 「ねぇ、雅樹」 「ん? どうした?」 雅樹の頭をごしごし洗う手が一瞬止まる。 「あのね、僕に胸があったらよかった?」 すこしの沈黙……。 雅樹はそっと、シャワーヘッドを戻した。 シャワーの音が二人を包む。 怖い。 雅樹の回答が怖い。 おっぱいが嫌いな男子はいない。 それはわかるんだ。 でも、聞かなきゃ。 雅樹の本当の気持ちが知りたい。 「それって、おっぱいってこと?」 「……うん」 すると突然、雅樹は僕の乳首を触り始めた。 「どうしたの? 雅樹、急に。あっ……だめ」 最初は指の腹で、そして固くなってくると軽く摘まむ。 逃げようとする僕を捕まえる。 「あっ、あっ、ちょっと、こんなところで、だめ。だめったら……」 僕は体をよがらせた。 でも、雅樹はやめようとしない。 そして顔を近づけて、乳首を舌でいやらしく舐め始める。 れろれろと舌が這う感触。 ビクっと体を震わせる。 「めぐむのおっぱいって、超敏感だよな」 雅樹が耳元でささやいた。 やだよ。 そんな言い方……恥ずかしい。 でも、雅樹の愛撫。 とっても気持ちいいんだ……。 「こんなに、乳首を固くしちゃって。めぐむだって、いじられるの好きだろ?」 雅樹はコリコリと乳首の先をもてあそぶ。 「そりゃあ、気持ちいいけど……もう! そんなこと、聞かないでよ!」 雅樹はにやりとすると、乳首を思いっきり吸い始める。 ちゅぱ、ちゅぱ。 きっ、気持ちいい……。 思わず声がでちゃうよ。 僕は声が漏れないように、自分の人差し指を噛んだ。 「うっ、うっ……あっ、あっ、だめ」 「んー、れろれろ。エッチだな、めぐむは。目がうるうるして、もう、いきそうな顔しているぞ。ははは」 「もう、雅樹がそうしたんでしょ! 雅樹こそ、エッチだ!」 雅樹は、舐めながら僕の乳首から首元へ上がっていく。 「あっ、ああん、だめ。感じちゃうから……」 そして、僕の首筋にキスしながら、その手は僕のアナルへ。 「なぁ、めぐむ。ここもヒクヒクして感じているんじゃないか?」 「いっ、意地悪言わないで……」 ああ、欲しいよ。 雅樹のペニス。 我慢できない……。 「雅樹、入れて……」 うわ言のような声がでた。 雅樹は、僕の耳たぶを甘噛みしながら、 「めぐむはエッチだな……おねだりなんかして」  と優しい声で囁いた。 恥ずかしさと気持ちよさで体がビクビクっと反応する。 雅樹は、僕の片足をひょいっと持ち上げ、そして、僕を抱えるように体を引き寄せた。 僕は片足でつま先立ち。 腕を雅樹のクビに絡めて、体を密着させる。 雅樹の固いペニスが僕のアナルにチョンと触れた。 ああ、雅樹のペニスが……僕のアナルに……。 「あっ、あぁあ……」 一気にズズズっと奥へと入ってくる。 おっきくて、固い。 ああ、雅樹を感じる。 僕のお腹の中に……。 僕が包み込んであげるね、ペニス君。 すぐに、ピントン運動が始まり、心地よい刺激が僕の体を巡る。 「あっ、あっ、ああん……」 僕の気持ちのいいところが悲鳴を上げ始める。 ああ、熱い。 熱いよ……。 「はぁ、はぁ、雅樹、切ない、切ないよ……」 「はぁ、あぁ、めぐむの中、最高……」 僕は、気持ち良くて体をしならせる。 雅樹はそれに合わせて僕の乳首に吸い付く。 「だめ、これ以上は、乳首いじめないで……」 散々、愛撫され続けて凄く敏感になっているんだから……。 それでも雅樹は、僕の乳首を執拗に攻める。 「あぁ、あああん。雅樹、雅樹……」 その間にも雅樹は腰を激しく、パンパンと突き上げる。 ペニスが押しこまれる度に、僕の体が宙に浮かぶ。 ああ、雅樹のペニスに僕の中はかき回されているんだ。 そして、僕の体は雅樹のペニスにそうされる事を望んでいる。 下半身は痺れ、頭の中が白くなってきた。 もう、だめ……。 体全体がビクンビクンと痙攣し始める。 「雅樹、雅樹……僕、いっちゃうよ、いくっ!」 「はぁ、はぁ、俺もだ。めぐむの中に、出すぞ!」 「いっ、いっぱいだして! 僕に中に!」 ああーっ! 二人の声がシンクロした。 雅樹のペニスは、ドクンドクン痙攣しながら、僕の中に精液を注いでいく……。 僕達はシャワールームを出た。 黙って着替えをする。 Tシャツを着ると乳首の先が少しヒリヒリして痛い。 でも、この感じ、嫌いじゃない。 あーあ。 それにしても、さっきは、変なことを聞いちゃったかな。 僕のおっぱいをどう思うか、だなんて……。 ちょっと後悔。 気にしないでって言って謝ろう。 「雅樹」と僕が声をかけようとした時、ちょうど雅樹が話し始めた。 「めぐむ、俺、嬉しいよ」 「えっ? どうして?」 「だって、そうだろ。めぐむがおっぱいのこと考えていたなんて。俺の好みを気にしてくれていたってことだろ?」 雅樹は満面な笑みを漏らした。 「嬉しいな。めぐむ、ありがとう。さっきの答えだけど、俺、めぐむのおっぱいが大好きだ!」 頬が、かーっ、と熱くなる。 恥ずかしい。 なのに、嬉しくてにやけちゃう。 ふふふ。 僕のおっぱい好きなんだ……。 あぁ、でも、そういうことか。 僕はいまようやく、アキさんが言ったことが分かった。 雅樹に聞いてみてか……。 さすがアキさんだ。 きっと、聞いてみることで、雅樹が喜ぶことが分かっていたんだ。 僕は、雅樹の顔を見つめる。 「僕こそ。ありがとう、雅樹」 日は落ち、辺りはすっかり暗くなった。 僕と雅樹は、それぞれ手に持った花火に火をつけた。 パチパチと光が弾け、シューと音を立てて辺りを照らす。 「おお、意外と綺麗だな」 「すごい、綺麗!」 僕はうっとりと花火を見つめる。 周りをみると、何組かのカップルや親子連れが同じく花火をやっているようだ。 「めぐむ、ほらこっち」 雅樹は小さな仕掛け花火に点火した。 キラキラした光が流れるように吹き出す。 「あー。すごく綺麗!」 「そうだな」 雅樹はしゃがみながら花火を見つめている。 「めぐむ、もっと、こっちに寄れよ」 「うん」 僕が雅樹の横にしゃがもうとしたとき、 ぎゅっと腕を掴まれ、引っ張られた。 そして、雅樹の胸の中に収まる。 雅樹の心臓の鼓動。 ドクン、ドクンと聞こえる。 僕と同じだ。 見上げた雅樹の顔は、花火の光で照らされる。 あぁ。 どうして雅樹はこんなにも……カッコいいんだろう。 花火がシューと最後の輝きを放って燃え尽きると、あたりは暗くなった。 それを待っていたかのように、僕と雅樹はキスをした。 舌を絡ませ、そして、むさぼるように……。 離された唇の間を、唾液がいやらしく糸を引く。 いつしか月明かりが二人を照らした。 「はぁ、はぁ、めぐむの唇、やわらかい。食べちゃいたい」 「はぁ、はぁ、雅樹の唇だって……」 雅樹は、僕をぎゅっと抱き締めた。 「今日は楽しかったな。めぐむは?」 「もちろん、とても楽しかった。でも、まだ終わってないよ」 「そうだな」 「雅樹! んーっ」 僕は顎を上げて唇を突き出す。 「ははは。めぐむは、本当にキスがすきだな」 「もちろん。雅樹だって好きじゃん、キス。ほら! はやく! んーっ」 再び僕の唇は雅樹に塞がれる。 僕は、スッと雅樹の首に腕を巻き付けた。 今日は、まだまだキスするんだから。 離さないよ、雅樹……。

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