51 / 52

サイドストーリー1 チェリーフレンズ(4)

そこにいたのは、レオとその仲間達。 リク君は、子分に口を押えられ、うー、うー、と唸っている。 レオが言った。 「盛り上がっているところ悪いな、ユキ。リクは俺がいただく」 「リク!」 ユキは大声を上げて駆け寄る。 リク君は子分の手からレオの手に渡された。 「やめてください! はなして。あっ」 レオは、リク君の体を抱き寄せて、唇に吸い付く。 「んっ、んっ、やめて……」 「何をするんだ、レオ! リクを離せ!」 ユキは今にも飛びつかんばかりに言った。 「ぷはっ。ギャーギャーうるせえな。お前たち別れたんだろ? じゃあ、もう関係ないはずだ」 「なんだと! リクはこれから新しい人生が始まるんだ。離せ!」 ユキは大声で怒鳴る。 「ははは、なに寝言いっているんだ。リクはもう俺の物だ、可愛がってやるからな。どれ」 そう言うと、レオはリク君のお尻を撫で始める。 「やっ、やめて……お願い」 リク君は体をよじらせる。 レオは、その反応を待ってましたと言わんばかりに、ほら、ほら、と体中を触りだした。 シャツの裾から手を入れて胸に、そして、太ももの間を手を入れる。 そして、またリク君の唇に吸い付き始める。 ユキは、拳を握り締め、わなわなと震わせている。 「貴様、許さないぞ、レオ。リクを離せ! 離さないと……」 「離さないと、どうなんだ?」 レオはそう言うと、リク君の頬をペロリと舐める。 「ぶっ殺す!」 「ほう、そうだな。お前とはいつか白黒つけようと思っていたところだ」 レオはリク君を子分の方に投げ渡した。 リク君は「キャッ」と小さな悲鳴を上げる。 レオは首や手首をボキボキと鳴らしながら、ユキと対峙した。 「さぁ、来いよ」 レオは手招きをしてユキを挑発した。 ユキは冷静さを失っている。 一目で分かる。 きっと、レオがリク君にいやらしいことをして見せたのは、レオの作戦なんだ。 ユキを挑発をして勝負に持ち込ませる。 おそらく、ユキを潰すのが本当の目的。 僕はユキにそう伝えた。 でも、ユキは烈火のごとく怒り、僕の言葉など耳に入っていないようだ。 「来ないならこっちからいくぞ」 レオが、ウォーと雄たけびを上げながら、ユキに襲い掛かった。 拳を振りかぶる。 危ない! でも、ユキはスッと横に身体を傾け、寸でのところでよける。 早い。 僕は目を見張った。 そして、続くパンチも、身体を後ろにそらしてよけた。 蹴りには、しゃがんでやり過ごす。 レオの猛攻は、まったくといっていいほど、ユキには当たらない。 僕は、水が流れるような美しいユキの身のこなしに思わず見とれてしまった。 「すっ、すごい。ユキってこんなに強いんだ」 以前に、ユキが、レオと何度か戦った話をしていたことがある。 僕は、うそ半分だと思って聞いていたけど、本当だったんだ。 こんなに、身長差、体格差があるのに……。 いくらレオが強烈なパンチを持っていたとしても、あたらなかったらどうということもない。 はぁ、はぁ。 レオの息使いが荒い。 「くっそぉ」 「今度はこっちの番だな」 ユキはそう言うと、左右にパンチを繰り出す。 早い。 しゅっ、しゅっ、っと風を切る音が聞こえる。 強烈なラッシュ。 レオはガードを固めている。 でも、ガードしているレオの腕はみるみるうちに真っ赤に腫れあがった。 そして、ガクっと、腕が落ちた瞬間、ユキのストレートがレオの顔面を直撃した。 「ぐはっ!」 レオが崩れ、膝を着く。 鼻血が垂れる。 ユキは冷えた目つきでレオを見下ろした。 「今日は、これじゃ済まさないぜ。レオ。さぁ立てよ」 「くそっ。おい、お前たち」 レオは子分に指示をだした。 「へい」 子分たちは待ってましたと言わんばかりにリク君を触り始める。 後ろから羽交い締めにすると、シャツを捲り、乳首を舐める。 「やめてーっ!」 リク君の悲鳴が響き渡る。 子分の一人が言った。 「お前、本当に男か? ちゃんとついているのかよ」 「確かめてみるか。へへへ」 そう言うと、半ズボンを脱がし始める。 「やめて、やめて!」 リク君の懇願する必死な声。 その声も空しく、半ズボンとパンツを脱がされてしまう。 「ほう、ちゃんとついていたよ。ちっちぇえな」 子分達が、リク君のペニスをちょん、ちょんと触りもてあそぶ。 「やめて、やめて、あん、だめ!」 ぺちゃ、ぺちゃ。 子分の一人がペニスを咥えたようだ。 リク君が身体をよがらせる。 ユキは吠えた。 「お前たち、リクに何をするんだ!」 ユキは逆上して子分達の方に飛びつく。 でも、転んで地面に手をついた。 「くそっ!」 レオに足を掛けられたのだ。 「おい、ユキ。どこ見てんだよ。お前の相手は俺だぜ。よっと」 レオは容赦なく、ころんだユキの腹部に蹴りを入れる。 うぅ。 ユキの呻き声。 「ほら、どうした?」 レオは尚もユキに蹴りを入れ続ける。 鈍い音がこだまする。 それでも、ユキは必至にリク君の身を案じている。 「お前たち、リクに手をだすなっ。うっ」 ユキは這いつくばって、リク君の方へ、リク君の方へ進もうとしている。 その姿にレオは激怒した。 「だから、ユキ。お前の相手は俺だっていっているだろうが!」 レオは渾身の力で蹴り上げた。 ドコっ! 大きな音が聞こえた。 「り…く…」 ユキの声はそこで途絶えた。 リク君は、ユキの姿を見て、悲鳴を上げた。 僕は、ユキのリク君を思う姿に感動していた。 いつの間にか、涙が頬を伝わる。 あぁ、なんてカッコいいんだろう。 こんなになるまで愛する人のことを……。 美しい。 なんて、美しいんだ。 でも、もうユキは戦えない……。 誰だ。 この美しさを汚したのは。 許せない! 絶対に許せない! 僕は、ゆっくりとした歩みで、ユキのところへと行く。 そして、ユキを抱きかかえた。 ユキのまぶたがうっすら開く。 「めぐむか……リクを……たの……む」 そのままガクっと落ちた。 「ユキ、分かったよ。ちょっと横になっててね」 僕はそっと、ユキを下ろした。 そして、ユキに耳元でささやいた。 「ここからは、君の親友の出番だから」

ともだちにシェアしよう!