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第3話 雪の日

横浜に大雪が降った 庭は雪で真っ白だった 「かぁちゃ!ゆち!ゆち!」 流生が康太と榊原の寝室のドアを叩いた 榊原はドアを開け流生を抱き上げた 「流生おはよう」 頬にキスを落とし、榊原は康太の寝てるベッドに流生を置いた 「かぁちゃ、ゆち」 流生は康太の頬をぺちぺち叩いた 「流生、どうしたよ?」 康太は起き上がって流生を抱き上げた 瞳を輝かせて流生は 「かぁちゃ、ゆち!」 流生はそう言い外を指さした 「雪?降ってるのかよ?」 榊原に聞くと、榊原は窓を開けた ヒューと冷たい風が部屋に入り込んで来て、康太はベッドにもぐり込んだ 「寒いってばよぉ!」 康太が言うと流生は笑った 「かぁちゃ、ゆち、いこ」 流生が言うと榊原は 「………康太、此処は雪国ですかね?」 と呟いた 「伊織、服着せてくれ」 榊原は康太に服を着せて、モコモコのコートを着せた そして首にマフラーを巻いて、手袋を渡した 康太は手袋をポケットに入れると流生を抱き上げた 寝室を出ると翔が康太に寄って来た 「かぁちゃ、ゆち!」 言う事は流生と同じだった 「おう!翔、行くぜ!」 康太は流生と翔を抱き上げて階下に下りて行った 下に行くと太陽と大空が康太に飛びついた 「「かぁちゃ、ゆち!」」 やはり言う台詞は同じだった 榊原は太陽と大空を抱き上げた 「音弥はどうしたよ?」 康太が言うと応接間から一生が顔を出した 「音弥?音弥は『ゆち、ちらい』らしいぜ」 「………え?流生は『ゆち!』って上まで来たぜ」 「おう!流生を持って行ったのは俺だ! かぁちゃにおちえる!とうるさかったからな、ドアの前まで連れて行ったんだ」 だと想った でなきゃ、流生が階段を上っては来られないから… 「仕方ねぇな……音弥は寒がりだ」 応接間でブランケットに包まってる隼人を見て…… 康太はため息を着いた 寒がりはソックリかよ…… 「一生、外に出るわ」 「あいよ!流生、ジャンバー着ようぜ!」 一生は流生にモコモコのジャンバーを着せた 「こら太陽!大空! んな薄衣で出るんじゃねぇぞ」 一生は太陽と大空にもモコモコの上着を着せた そして翔に「おニューだぞ翔!」と言い上着を着せた 「かじゅ、おぬー」 翔は嬉しそうだった 康太はわが子と外に出た 道路は……ツルツルで危なかった 日本庭園ばりの庭で遊ぶと……源右衛門が怒る…… 外は危ない 「……伊織、屋上に行くか」 「それが無難ですね」 再び家に入り靴を持つ そして屋上にあがろうとすると慎一が顔を出した 「康太、和希と和馬、北斗も頼みます 俺は甘酒とお汁粉を作っておきます!」 「おう!良いぜ」 慎一の側にいた和希と和馬と北斗を連れて屋上に上がると、白銀の世界だった 屋上から下を見上げると…… 裏の住人が雪かきしていた 「お疲れ!」 裏の住人は「お疲れ過ぎる!おめぇ暇か?」と問い掛けた 「オレは子守だ!」 「うし!俺も手伝ってやる!」 裏の住人は大きな雪だるまにスコップを刺すと、走り出した 「かぁちゃ、べーたい」 流生が雪を触って、震えていた 「流生、雪は冷てぇんだぞ!」 「ちょーなの?」 「そう!こんな風にな」 康太は雪の塊を流生にぶっけた 流生は泣き出した うわぁぁぁん~と泣くと、榊原が持ち上げて雪を払ってやった 「康太、めっ!」 榊原は康太を怒った 康太は笑いながら翔を持ち上げた 「翔、流生を慰めろ」 「りゅーちゃ」と言い翔は流生を撫でた 流生は泣き止んで……やはり「かぁちゃ」と康太に腕を伸ばした 康太は翔を下ろそうとした……が、翔が「や!」と言い困った顔をした 太陽と大空は初めて見る雪に、キャッキャとはしゃいでいた 一生が兵藤と共に顔を出した 泣いている流生に一生は「どうしたのよ?」と問い掛けた 「康太が流生にゆきだるまをぶつけたのです」 悪ガキは健在で……一生は苦笑した 「かぁちゃ!かぁちゃ…」 と流生が泣く 「一生、翔を持って下さい」 一生は榊原にいわれて翔を剥がそうとした すると翔は抵抗して康太に縋り付いた 「や!」ないて康太を独占する それを見て流生は大泣きした 「翔、雪だぞ……おめぇ、雪が怖いのか?」 言われて翔は、そっぽを向いた 康太は兵藤に翔を渡した 「貴史、雪が怖いって翔」 「も少し大きくなったらスノボーに行こうぜ! んな雪で怖がるな!翔!」 兵藤は笑って翔に雪を触らせた 康太は流生を抱き上げて 「冷たかったか?」と聞いた 流生は頷いた 「自然はすげぇよな流生 こんな冷たい雪だって降るんだぞ!」 康太は流生を地面に立たせた 太陽と大空の横に座り 「かな!つめぇか」と大空に聞いた 「べーたい」 大空はニコッと笑って掌の雪を見せた そんな顔を……榊原をミニチュアにしたみたいで…… 康太はたまらなく嬉しくなった 「そっか、べーたいか 太陽、はどうよ?」 太陽に康太は問い掛けた 「たべゆ……おいちぃ」 太陽は………夢見心地の顔でそう答えた 「………食うのかよ?……」 太陽は頷いた 「夏に食わせたかき氷覚えてるのかよ?」 康太が呟くと榊原が 「どうなんですかね?」と答えた 流生は一生の手を持つと 「かじゅ…」と甘えだ 一生は流生を抱き上げた 「………鼻水すげぇな……」 一生が言うと榊原はハンカチを出して、流生の顔を拭った 「風邪ですかね?」 額に手をやると流生が榊原の手を取った 「とぅちゃ」 と楽しそうだった ヨチヨチ歩いて……滑った お尻はベタベタだった それでも翔は平気で雪と戯れていた 大空は雪に話し掛け 太陽は美味しそうに雪を触っていた 兵藤は大きな雪だるまを作り始め 子供たちは喜んだ 「おおちぃ…」 翔は感動していた 康太は翔を雪だるまの横に立たせてパシャと写真を撮り 大空と太陽も雪だるまの横によって並べてパシャっとした 「流生、雪だるまの横に来いよ」 康太が声をかけると、流生は兵藤の手を引っ張って 兵藤と二人でパシャとした 一生が子供達と並べよ! と言ってくれたから 康太と榊原は雪だるまの左右にならんだ そして子供達を前に立たせてパシャと写真を撮った 流生がやはり「かぁちゃ」と足に抱き着いて来て 康太は流生を抱き上げた 慎一が「暖かい甘酒とお汁粉が出来ましたので着替えてらっしゃい!」と呼びに来た 康太は流生を抱き上げ 榊原は翔を抱き上げた 一生が太陽を抱き上げ 兵藤が大空を抱き上げ、屋上を後にした 雪で濡れた服を着替えさせて ぬくぬくの応接間で、お汁粉を食べた 流生が笑顔で「おぃちぃね」と言った 翔も「にゅくいね」とシブイことを言い 太陽と大空は「「もっとたべりゅ!」」と口をベタベタにして食べていた 音弥はやっとこさ起きて 「かぁちゃ…ちーでた」 とおむつ事情を訴えた 康太は音弥のおむつを変えて、手を洗いに行こうとすると 音弥がソファーから下りてヨチヨチ康太の後を追おうとした 榊原が音弥を捕まえて膝の上に乗せた 「音弥、お汁粉ですよ」 食べさせようとするが……音弥は食べる気は皆無だった 仕方なく榊原は音弥の口にタマゴボーロを放り込んだ 「あーん」 音弥はもっとと催促する 榊原は音弥の口にポイッとタマゴボーロを放り込んだ 「………流石……隼人と似てんな…」 兵藤が呟いた 「音弥は好き嫌いが半端ないんです 隼人もね……好き嫌いありますよね…」 「とぅちゃ!んっ!」 音弥はひたすら口を開いていた 榊原は音弥の口にタマゴボーロを放り込んでいた 手を洗って帰って来ると、翔が寝ていた 口が凄い事になっていた 触ると……べたべただろうな……と思いつつ 康太はぬくぬくのタオルを作りにキッチンに向かった タオルを濡らして電子レンジでチンする 康太は程よい温度にして翔の顔を拭いた そして応接間の横のベビーベッドに寝かせた 太陽は眠そうで 大空は甘酒を飲んでいた 「………おい……子供が甘酒はダメやろが!」 哺乳瓶でミルク飲んでろよ……と思う 真っ赤な顔して……乳飲み子が甘酒…… 一生が「欲しがったからな飲ませたら気に入って全部持って行ったんだよ」と困り顔だった 康太は甘酒を取り上げた すると大空は泣き出した 哺乳瓶を口に突っ込むと放り投げて…… 康太は仕方なく甘酒を持たせた するとニコッと笑ってズズッと甘酒をすすった 康太は「……乳飲んでろ!」と怒った 兵藤は「………子育てって結構大変だな……」と呟いた 「オレ等は託児所に預ける時間が長いからな、一緒にいられる時は、いてやりてぇんだよ」 康太の想いだった 流生は眠くなると、康太の膝を登った 康太は流生を抱き上げた すると膝の上で流生は丸くなり眠りに落ちた 康太は我が子を腕によって抱き締めた 大空と太陽も康太の上に上がって重なって眠ろうとする 康太は太陽と大空も抱き締めた 飛鳥井康太の子ども達だった 子供と過ごすなにげない一日だった 雪がもたらした楽しい一日だった 榊原はベビーベッドに太陽と大空、流生、音弥を寝かせた 静かな時間がもどっても来た 寂しくもあり、息を抜ける時間でもあった 康太は笑って我が子との時間を噛みしめていた 雪の日のお話でした オマケ 和希と和真と北斗は兵藤が作った雪だるまに 目や鼻をつけた 鼻は……今夜の食卓に上るかも……の人参だった 帽子は父さん愛用のバケツ そして父さん愛用のマフラー 父さん愛用の手袋 父さん愛用の靴 雪だるまのパーツにして、手には庭ボウキを持たせた 「出来たね和!」 「うん!達成感あるね北斗」 「そうだね和希、和真」 3人は満足そうに微笑んだ それを………康太達は知らなかった 応接間に戻ると流生達は寝ていた 真っ赤な手をした和希を掴むと康太は暖めてやった 榊原は北斗の手をこすった 一生は和真の手をこすって 「あにしてきたんだよ?」と尋ねた 和真は一生の耳元による口を寄せて 「あのね、雪だるま完成させたの」と教えた 「おう!カズくんに見せてくれるか?」 「良いよ!」和真は一生の手を引っ張った 康太と榊原と兵藤も屋上にあがった ……………そして………雪だるまのパーツを見て 固まった 慎一愛用の数々だった 康太は「あちゃー」と顔を覆った 聡一郎が力哉と共に屋上に顔を出した 「…あれ……」聡一郎は言いにくそうに 「……慎一のだよね?」と力哉が続けた 子ども達はニコニコ笑っていた 康太は「……オレ、慎一にマフラーをプレゼントするわ」と呟いた 榊原は「なら僕は手袋を」 聡一郎は「なら僕は靴を!」 力哉は「バケツを!」 兵藤は「なら俺は人参を家をから持って来るか!」と笑った 兵藤は「怒られるなら俺等も一緒だ!」と和希を撫でた 慎一は無言でプレゼントされた数々に…… 「え?俺の誕生日はまだ先です!」と慌てた まさか……雪だるまのパーツにされてるとは…… 慎一は康太達の思いやりに胸が一杯になった 飛鳥井家の屋上に、かなり長い間 慎一愛用の数々をした雪だるまは残っていた

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