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第4話 喧嘩 コオ イオリ
イオリと……喧嘩した
コオは鳴きながら……
自分の足を舐めた
キュン……キュン……
『…イオリ……側に来ないのかな……』
『もう嫌いになっちゃったのかな?……』
『………顔も見たくないのかな?』
コオは色々と考えて……
小屋の片隅に蹲った
散歩に行くと……
何時も……イオリは熱い視線を受ける
町内のマドンナが色目を送る
コオは……イオリを盗られそうで……
鳴きたくなる
マドンナは……イオリと同じシュナウザーだったから……
コーギーの自分よりお似合いだよな……
そう思うと……
素直になれなくなる
意地を張ってしまう
コオは素直になれなかった
素直じゃない……
こんな可愛くない自分……
捨てられちゃう……
イオリは……チャンピオン犬だけあってイケメンだ
それに比べて……
自分は……
足は短いし……
チャンピオン犬じゃない
何処が好きで……
側にいてくれるのか……
解らない
『………マドンナが呼んでるぜ…』
『……お前と同じシュナウザーなんだろ?お似合いだよ』
この台詞にイオリは怒った
『お似合い?何処がですか?』
『……似合ってるじゃん』
『本気で言ってます?』
『………うん……』
自分には釣り合わない……
『………なら、お似合いの犬の処へ行きます!』
イオリはそう言い……背を向けた
嘘……
行かないで……イオリ……
声が出なかった……
コオはイオリを見送った……
見送って泣いた
康太がコオを抱き上げた
「おめぇ……んなに鼻水垂らして……涙でベタベタになるなら……行かせるなよ…」
顔を拭いて貰って……
コオは康太から離して貰うと……小屋の隅っこに行った
顔を埋め……絶える
康太はため息を着いた
こんな所まで似なくてもいいじゃないか……
イオリはコオと喧嘩して……
売り言葉に買い言葉で……
家を出て来てしまった……
後で後悔しても……遅かった
コオ……何で急にあんな事言った……
マドンナなんかよりコオの方が可愛い
どの子見てもときめかない……
コオ……コオ……
君しか要らない……
飛鳥井の家の玄関の外に……
シュナウザーはくしゅんと座っていた
家に入れないでいたのだ…
榊原はイオリに近寄った
見上げる顔は……鼻水と涙で……ベタベタだった
榊原は苦笑した
こんな所まで似なくてもいいじゃありませんか……
「イオリ、コオが餌を食べません……死んじゃうかも知れませんよ?」
キャイン『え~コオが死んじゃう!嫌だ!』
キャインキャイン『コオコオ!愛してます!』
榊原はイオリを持ち上げた
「イオリ、大切なら側を離れたら後悔するだけですよ?」
イオリは泣き出した
だって……上手く言えないんだもん……
イオリは瞳で訴えた
「コオの側に行きなさい」
榊原はイオリを抱き締めたまま応接間のゲージまで向かった
コオは小さくなって丸くなっていた
餌は手付かずだった
食い意地のはったコオなのに……
イオリはコオの側に近寄った
でもコオは顔は上げなかった
泣いているのが解る
イオリはコオを舐めた
ペロペロ舐めて謝った
『コオ、ご飯食べなきゃダメだよ』
『……お別れに来たの?』
コオは顔を上げずに……そう言った
『……オレなんか……イオリを喜ばせれてるか解らねぇもんな…
イオリの子供も産んでやれねぇ……』
イオリはコオの上に乗った
『コオ……僕は君だけです』
『……嘘……』
『泣かないで……あんなマドンナなんかより、僕はコオが大好きです』
『………イオリ……オレだけ愛して……』
『君だけ愛してます』
イオリはコオを、ペロペロ舐めた
執拗に舐めて……
コオは『……あぁん……イオリ…』と喘ぎをあげた
キュ~ン キュ~ン
コオの鳴き声が甘くなる
イオリはコオの上に乗って腰を使った
首を甘噛みして……一つに繋がる……
コオはイオリを舐めた
イオリもコオを舐めた
2匹は仲直りして……
エッチに突入した
康太は「んとに、犬も食わねぇよな!」とボヤいた
榊原は康太を抱き寄せて……
部屋へと連れて行った
康太も甘く啼かされて……伊織を愛してると囁くのだ
2匹と二人の上に……
幸せの祝福がありますように…
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