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第10話 不在

物心つく頃 とぅちゃ も かぁちゃ もいなかった 京香と言う人がママだと想っていた でも京香は、写真を取りだし 「みんなのとぅちゃとかぁちゃだぞ」 と教えるのだ 漠然と……とぅちゃとかぁちゃを知っていた ある日突然……写真でしか見てない……とぅちゃとかぁちゃが現れた かぁちゃは僕たちを抱き上げて…… キスしてくれた この人が……かぁちゃなんだと…抱き着いて泣いた とぅちゃ……と言う人も…… 僕たちを抱き締めてないた この人が……とぅちゃなんだと想った かぁちゃは大好き とぅちゃも大好き 兄弟も大好き なのに……ある日突然…… かぁちゃととぅちゃが還って来なくなった…… 家から……笑顔がなくなった 皆… ……言葉を忘れた様に…… 話さなくなった 僕たちは…… とぅちゃとかぁちゃに逢いたかった もう離れたくない…… と想っていた だから毎日……待った お外を眺めながら…… 暗くなるまで…… 待っていた かぁちゃ…… 流生が泣く 1人泣くと……次々に泣いて…… 泣き疲れて眠る 家族は……そんな子供を見て… 胸が痛んだ 瑛太は「………康太が還らないから……」と呟いた 玲香は……「言うでない……」と瑛太を黙らせた 誰よりも我が子に逢いたいのは…… 康太なのが解るから…… 清隆は「……子供達が……集まって何か見てるので……覗いたら…康太と伊織でした……」と呟いた 康太と榊原の写真に語り掛け 擦り擦り……して……泣く 逢いたいのは解っている だが……何処にいるか解らぬ家族には手立てはなかった 流生は拳を握り締めて……堪えていた 泣かない様に…… 我慢していた 翔も太陽も大空も音弥も…… 堪えていた 「りゅーちゃ……なきゃないもん」 流生は言う 一生はそれを見てるのが辛くて…… 泣いた 流生の親は飛鳥井康太しかない 疑わず康太に懐いて抱き着く 何処から見ても……親子だった 「りゅーちゃのかぁちゃ」 抱き着く時……流生はそう言う かぁちゃが大好きなのだ とぅちゃも大好きなのだ ……早く帰って来いよ! 一生は叫んだ 流生達の親は…… この世で康太と榊原しかいないのだ… かぁちゃととぅちゃが還って来た日 子供達は号泣した 姿を見つけるなり飛び付き…… かぁちゃととぅちゃを確認する為に…… 抱き着いた 「かぁちゃ……りゅーちゃ‥‥ちゅき?」 何度も流生は問い掛けた 「大好きだぞ流生」 康太にキスを落とされ幸せそうに笑っていた どの子も母の帰宅に喜んでいた 飛鳥井の家族も…… 康太の不在は……堪えていた 康太と伊織が還って来た日 子供達はかぁちゃととぅちゃの服を握り締めて…… 離さなかった

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