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第12話 北斗

僕はお母さんのお腹にいる頃からの記憶がある 産まれた瞬間…… 僕は喋った 赤い髪に鬼の角を持って産まれた 僕は罪の子だから…… 罪を背負い…… 産まれた 僕が……… 悪いのか? 母のお腹に宿った…… 僕の罪なのか? 産まれる前から…… 僕は罪の烙印を押されていた 産まれて直ぐに喋っただけあって 僕の成長は……人の倍……早かった メキメキ音を立てて…… 成長した 十分に育っていない体躯が…… 成長する…… 僕の骨は…… ポキポキ音を立てて……折れた 飛鳥井康太 彼が来るのは…… お腹の中にいる時から知っていた 彼が僕を裁いてくれる…… そう思って日々過ごした 初めて飛鳥井康太に逢った日 僕は泣いた 年相応に……泣いて…… 自分の無力を知った 死んでも良いと想っていた いや…… 死にたかった 赤い髪に鬼の角を持って産まれた異形の子供など…… この世で生きられないのは知っていたから…… 飛鳥井康太は僕を二つに分けた 赤い髪に鬼の角を持つ【 雪 】と言う名を持つ子供は魔界に送り 人の世に生きる子供を、北斗七星に導かれて生きる様に北斗と名付けた 僕は緑川北斗として…… 生きて行く事になった 飛鳥井の家に初めて連れて行かれた日 緑川一生と出会った 「北斗!俺がおめぇの父ちゃんになる!」 一生はそう言い北斗を抱き締めた 僕は……その温もりに……… 安心したんだ 生きてて良いんだと……想ったんだ 父さんは優しい 僕の足の速さに合わせて歩いてくれる 牧場に連れて行ってくれる 馬の世話をする 馬の言葉が……僕には解るんだ でも人は……解らない 僕は……足が悪いから…… 和希と和真に迷惑ばかりかける 和希と和真は優しい クラスの子に虐められない様に和希と和真が予防線を張る 和希と和真は北斗を大切に扱ってくれる だけど……僕だって…… 護られるばかりは嫌なんだ 流生達の子守をする時 和希と和真は…… 流生達を抱っこする 僕は出来ない…… 足が悪いから……抱っこしたら……倒れちゃう 怪我させちゃう だから……抱っこはしてやれない その変わり…… 寝るまで、ご本を読んであげる 沢山、沢山、お話をしてあげるの…… でもね……僕は…… 足手纏いの自分が哀しくなるの…… 思い通りに動かない足に…… 泣きたくなるの…… 北斗を揶揄する子がいたら…… 和希と和真は必死に北斗を庇う 泣きながら…二人は北斗を護ってくれる でもね……僕は和希と和真は護れない…… …………こんな僕…… 自分でも要らない 時々……父さんと慎一おじちゃんが喧嘩する 「北斗を護って大切にするのは良い…… だけど、自分で出来る事ならさせなきゃ…… お前は……北斗を駄目にしてるの解ってる?」 「………なら無理させてやらせるのかよ! 俺には……そんな事は……出来ねぇ…… 解ってるよ……過保護過ぎてるのは……解ってる でも俺の子供なんだ! ………父親に……甘えさせる位……大目に見ろよ……」 一生は泣いていた 僕の事で…喧嘩はして欲しくなかった…… 僕は…自分が…… 皆の足手纏いなんだと想った… 僕なんか……… いない方が…… 良いのかな?

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