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第14話 喧嘩

音弥はかぁちゃが大好きだった かぁちゃを喜ばせたい 最近、自我も出来て来て、音弥は成長していた かぁちゃにお花をあげたい 音弥はそう想い、お花を飾った花瓶の花を取った 高い位置にあるから勿論、手伝ってもらって……だけど 一生を捕まえて、抱っこしろ!と訴えた 「……お!音弥!抱っこか?」 音弥は気合いを入れて頷いた 一生が抱っこすると花瓶の方にいけと指さした 「あちょこ!」 指を指して、一生に訴える 一生は花瓶の前に立った 音弥は手を伸ばし、花を掴もうとする 仕方なく一生が花を取りやすい様にしてやった 慎一はそんな二人を一部始終見ていた 翔はそれを見て、音弥の花を取り上げた 「らめ!」 勝手に取ったら怒られる だから翔は音弥の花を奪って…… 取り上げた 音弥は泣いた かぁちゃにあげたかったのに…… 泣いて……翔と喧嘩した 喧嘩は叩き合いになり…… 音弥は負けた…… 音弥は泣いて…… かぁちゃに慰めて貰おうと… かぁちゃを探した 泣いてかぁちゃの側に行くと 「あに泣いてんだよ?」 とかぁちゃが言った 慎一が「翔と喧嘩してました」と告げる 「翔!」 康太が翔を呼ぶと、流生が翔を守った 太陽も大空も……音弥も翔を守って……立っていると…… かぁちゃととぅちゃ………は背を向けて、部屋を出て行った 流生は泣いた 翔も音弥も太陽も大空も泣いて…… 泣き声の大合唱となった 一生は見ているしか出来なかった 飛鳥井康太の子なのだ 勝手に流生だけ庇えば……子供の関係に軋轢が出来るかも知れないから…… 我が子は可愛い でも…音弥も翔も太陽も大空も…… 同じ位可愛かった どの子と差をつける事なく育てる どの子も精一杯愛して育てていた だから自分が……手を出す訳にはいかなかった 康太に背を向けられ…… 子ども達は泣いていた 大好きなのだ……かぁちゃが! 康太が部屋を出て行ったのも解る 怒りたくないのだ…… 康太は過酷な修行に出す子を…… 怒って押さえつけたくはないのだ…… だから……部屋から出て行くのだ 康太の想いが痛い程に解るから…… 家族や仲間は……言葉が出ないのだ 真矢は翔を抱き締め、慎一から話を聞いた かぁちゃの為に花を取った子と 曲がった事を許さない子 兄弟だからこそ、翔は怒るのだ 「どちらもいい子ね」 真矢は音弥を抱きしめた 清四郎は翔を抱き締めた 流生はかぁちゃを睨み付けて後悔していた 翔は……音弥の花を奪って後悔していた 音弥は……かぁちゃに渡したくても……花を取ったから後悔していた 太陽と大空は……かぁちゃととぅちゃがいないのは嫌だった 太陽は踏ん張って 「……ぎゃまん……」 大空も踏ん張って後を続けた 「……ちゅる!」 と言った 二人は何時も同じ事を半分ずつ言う 二人は我慢していた 真矢は「……康太と伊織を呼んでらっしゃい……」と慎一に言った 真矢は本当に良い子に育った……と喜んでいた 「あなた……良い子に育ったわね」 清四郎は嬉しそうに 「康太の想いが詰まった子たちですからね」と言った 「太陽も大空も兄弟思いね」 真矢の目の前で 「きゃな!」と太陽が言い 「ちな!」と大空が言って 互いを抱き締めていた 流生が「きゃなちゃ!」と引っ付いて 翔が「ちなちゃ」と引っ付いた 音弥が「ちゅき!」と抱き着いて、5人は何時も抱き締めていた 真矢はそんな子ども達を優しい想いで見ていた 「太陽も大空も……兄弟なのね…」 真矢が呟くと 「5人だから……乗り越えて行けるのでしょ……」と続けた 康太と榊原が戻ると子ども達は康太と榊原に抱き着いた 何処から見ても親子だった 真矢は我が子を見ていた 榊原に抱き締められる太陽と大空…… 年の離れた兄弟は親子として生きていた 榊原は誰よりも我が子を愛し 見守っていた 翔、流生、音弥、太陽、大空 5人は飛鳥井康太の子供だった 真矢と清四郎は…… 何時までも我が子を見守って行く決意をした 喧嘩をしても…… 5人は互いを助け合い 生きていくのだ 強く…… 生きて行きなさい…… 真矢は何時までも康太の子を見ていた

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