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第21話 おとちらま

今日はとぅちゃとかぁちゃは着物、と言うモノを着ていた 「流生、お正月だぜ!」 そぉ言い、かぁちゃは僕達に着物を着せてくれました 「おし!音弥、決め顔してみろよ!」 康太は音弥の着物を着せて、そう言った 「うち!かぁちゃ、ちまった?」 音弥は眉をキリッとして、そう言った 「うし!写真撮るかんな!」 「かぁちゃ、ちゃちん…」 音弥は飛び上がっていた 子供達が生まれた時に母、玲香から贈られたお祝いだった 太陽と大空も榊原に着物を着せて貰っていた 翔は慎一に着せて貰っていた 「翔、男前になったな!」 「ちょだってる!」 翔は胸を張ってそう言った 翔はキリッと 流生は着物が嬉しくて 音弥は歌を歌ってご機嫌 太陽は着物の裾を巻くって 大空はミカンを着物の袖に隠し持っていた 「屋上に上がって写真を撮るぜ!」 かぁちゃが言うと皆飛び上がった ちゃちんは全員好きだった 生まれた時からのアルバムが全員あるのだ そのアルバムに写真が増えていく アルバムは既に三冊目だった 「五歳になったら七五三か… その前に幼稚舎の入園式が控えてるか」 かぁちゃは色んな行事を思い浮かべていた 「奥さん、子供の成長は早いですね…… そのうち……この人と結婚する……なんて、来るんですかね」 榊原はしみじみと呟いた 「………伊織……嫁を娶る年まで……生きてぇな…」 「生きて花婿の両親に収まるに決まってるでしょ! 孫が出来たら……嬉しくて……卒倒しそうです 僕達の子供ですからね、イケメンですから、モテまくりでしょうね」 「オレの伊織が一番男前だ」 「奥さん…」 「伊織…」 二人は抱き合い接吻を交わした 「ちな」 「きゃな!」 太陽と大空は抱き合いチュッとしていた 翔は正座して……それを見ていた 流生と音弥も 「りゅーちゃ」 「おとたん」 と抱き合いチュッとしていた それを見ていた一生が 「………おい!子供達の前でやるなよ! 真似するだろうが……」 と苦言を呈した 流生は一生の足に抱き付くと 「かじゅ、おとちらま!」 と手を差し出した 翔も立ち上がって一生の足に抱き付くと 「かじゅ!おとちらま!」 と手を差し出した 音弥も太陽も大空も一生の足に抱き付いた 「「「かじゅ!おとちらま!」」」 3人揃ってお年玉を要求して来た 一生はお手上げして 「後でやるよ!」と疲れ果てて言った 5人は、やったーと飛び上がって喜んだ 「おとたん、おとちらまらよ」 「うん!りゅーちゃ!おとちらまね」 とぅちゃとかぁちゃから貰った、おとちらまを大切に持っていた 「………こいつら……守銭奴やんけ…」 一生はボヤいた 屋上で親子で写真を撮って、一人ずつ写真を撮った 一頻り写真を撮ると、応接間に場所を移した 応接間には清四郎達も来ていた 子供たちは、清四郎達や、家族に 明けましておめでとうを言った そして……… 「おとちらま!」 と手を出した 榊原が苦笑して 「……僕が奥さんにお年玉をやっていたら、子供達も欲しがりました それでぽち袋にお年玉を入れてあげたら…… 思いの外気に入ってしまって……」 と、家族や清四郎達に説明した 康太が「お年玉はお正月にしか貰えねぇんだぜ!」と子供達に説明した 子供達は「うち!とくべちゅ!」と納得して…… 家族におとちらまを要求して来てたのだ 玲香や清隆、瑛太や京香は、ちゃんと用意していて子供達と康太にお年玉をあげた 清四郎達もちゃんと用意していて子供達と康太にお年玉をあげた 一生は「………康太はお年玉が要る年じゃねぇかよ?」とボヤいた 慎一が「一生!」と窘めておとちらま袋を手渡した 「……?これは何だよ?」 「北斗と君へのお年玉です」 慎一は笑った 兄から弟へあげるお年玉だった 玲香は一生や聡一郎、隼人に慎一にもお年玉を作っていた 隼人は音弥に「一緒なのだ!」と嬉しそうに言うと 音弥もおとちらま袋を見せて 「いっちょなのら」と偉そうに言った 源右衛門は康太や榊原、一生、聡一郎、隼人、慎一、そして孫にお年玉を渡した ニコニコと嗤っても過ごす源右衛門の幸せそうな顔を康太はカメラに収めた 源右衛門は家族や孫に囲まれて幸せそうだった 翔は慎一のズボンの裾を掴むと 「ちんいち!」 と名を呼んだ 慎一はしゃがんで翔と目線を同じにして話を聞く事にした 「何ですか?翔」 「きょれ!ちょちん、ちゅる!」 慎一は絶句した 翔はお年玉袋を慎一に差し出して、貯金すると言っていた 「………貯金するんですか?」 「ちょお!たいちぇちゅにゃのは、ちんこうにいりぇておきゅ!」 …………誰の受け売りですか?それは?? 「かぁちゃ、いっちぇた」 ………康太…貴方でしたか…… 子供に何という事を教えてるんですか! 流生も慎一にお年玉袋を渡した 「りゅーちゃも、ちょちんちゅる!」 「………郵便局に行きますか?」 「ちょお!ゆく かぁちゃが、らいじらもんはちんこうにいりぇておきゅ!いっちぇた!」 君もですか…… 「おとたんも!」 段々増えていく…… ひょっとして全員貯金する気ですか? 「じゃいてきゅ!」 ………音弥…それは誰の受け売りですか? 財テク……その年で…… 「ひゃやと、いっちぇた」 隼人……子供に財テク教えたのですか? 後で説教せねば! 「きゃなも!」 「ちなも!」 「「ちんり、やちゅいけどやりゅ!」」 金利……低いですね…… それは誰が言っていたんですか? 「とぅちゃ」 「いっちぇた」 伊織……子供に金利低いなんて……何を言ってるんですか! 慎一はクラクラして来た 慎一は康太に 「………貴方の子供……皆、銀行にお年玉を貯金すると言ってました」 と疲れ果てて言った 「無駄遣いはダメだかんな! オレと伊織が教えといたんだ そしたら隼人が最近財テクにはまってて、財テクって言ってた 伊織は金利がどうのと言ってたな」 康太は爆笑だった 慎一は説教する気力も残っていなかった お正月明けに、康太と榊原と子供達と共に銀行に行き通帳を作り、子供達のお年玉は通帳に貯金した 康太はその通帳は子供部屋に慎一の覚えて保管しておいてくれと言った 慎一は金庫を買って子供部屋に保管する事にした 緑川慎一 子供のパワーに押されたお正月だった 余談 慎一の子供、和希と和馬、そして北斗も部屋に戻ると銀行に行きたい!と言い出した 「………銀行に?何しに?」 和希は「お年玉を」 和馬は「全部」 北斗は「貯金するの!」 と答えた 「君達もですか?」 「康太君がね」 「欲しいのがない時は」 「貯金しとけと言ってくれたんだ!」 太陽と大空ばりに3人で分けて話され……慎一は言葉をなくした 「………解りました! 康太の子供達と一緒に銀行に行きましょう」 子供達は、やったー!と飛び上がった 和希は「でもね貯金してもさ」 和馬は「金利が低いからね…」 北斗は「儲からないけどね」 とトドメを刺した 慎一は子供って…… シビアなんだと思い知らされたお正月だった

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