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第27話 兄

朝 起きて応接間に行くと康太がソファーに座っていた 瑛太はニコニコと笑ってソファーに座ると……… 康太の横に瑛智と翔が座っていた 2人はよく似ていた 当たり前だ 同じ親から出た兄弟なのだから…… 瑛智の方が体格は格段と良い どちらかと言えば翔が、瑛太のコピーに近かった 「………康太……」 「あんだよ?瑛兄」 「………他の子は?」 「いねぇよ!」 「………何で……」 「翔に本当の親と兄弟の時間を作る為じゃねぇかよ!」 「………翔は君の子です……」 「オレの子だけどな……… 何時か真実を知った時に…… 本当の親との記憶が疎遠だと可哀想じゃねぇかよ!」 「………康太……」 「翔が飛鳥井家 真贋になる 瑛智は社長を引き継ぐ 瑛兄が瑛智に社長を引き継ぐがせるんだ それまでは飛鳥井を護ってくれ……」 「………君の後を追うな……と言ってますか?」 「…………飛鳥井の為だ……」 「………君は残酷な事を言いますね……」 瑛太は泣いていた…… 「………瑛兄…すまねぇ……」 「……何で今……そんな事を……」 「……オレの時間は……誰よりも短い…… 永遠に隠し通すには……短いんだよ瑛兄…… だからオレは……子供達に総てを話すつもりでいる もっと大きくなって理解が出来る年になったら… 総てを話す……」 「総てを知っても……この子達は…… 飛鳥井康太の子でいようと想います 君の子として胸を張って生きて行くと想います」 「……だけどな瑛兄…… オレは罪ばかり作って逝く…… 子供達が日頃から……その日が来た時に受け入れやすくしておきてぇんだ……」 「………この子達は君の子だ… 康太……そんな事を言って兄を泣かせたいのですか……」 「……瑛兄……泣かせたい訳じゃねぇ……」 翔は康太の横から下りると、瑛太の横へとよじ登った そして瑛太の涙を拭った 「にゃかにゃいの!」 よしよし……してもらい…… 瑛太はますます泣いた 「……こんな優しい子になっていたんですね……」 「翔は1番大きいからな 兄弟の面倒を見ようとしてるんだ 結構世話好きだな」 「………世話好きは私には似てません……」 「瑛兄は結構世話好きだと想うぞ?」 「それは康太限定です」 瑛太はキッパリ言った 翔は瑛太の上から下りると、康太の方へと抱き着いた 「かぁちゃ!」 「翔、偉いな よしよししてやったのか?」 「ちょお!よちよちちたの」 「うし!翔は良い子だ」 「かぁちゃ、かけゆらいちゅき?」 「大好きだぞ翔! オレの大事な子供達だ!」 「かけゆ、とぅちゃもかぁちゃもらいちゅき!」 翔は笑って康太に抱き着いた 何処から見ても親子だった 「……君は良いお母さんですね」 本当に康太は良いお母さんだった 「厳しい母ちゃんだけどな… 優しい父ちゃんに抱き着いて何時も泣いてるぜ……」 「それでも、子供達は母ちゃんが好きなのですよ」 「……瑛兄……」 「私は……甘い叔父で良いです 総てを話したとしても、それは変わりません……」 「……瑛兄は本当に甘いよな… 北斗に本……与えすぎだろ? 図書館開く気かよ」 「あの本は榮倉が実家から持って来たのです 後…何処から広がったのか……私が甥に渡す本を探してる……と聞いたと本を渡してくれるのです 返そうとすると、差し上げます……と言われて…… 私もこんなのは初めて困ってます」 「それだけ飛鳥井建設の社長は親しみ深いんだろ? 良い事じゃねぇかよ? ………北斗は喜んでた 瑛兄は変わったよな…… 昔の様な冷徹さがなくなった」 康太はそう言い笑った 「……変わりましたか? だとしたら……伊織が来たからですね…… 私は伊織の存在に……物凄く気が楽になりました…… 一人で抱えなくても良いんだ……と想えるのです 気負ってた部分がなくなったのでしょうかね」 「……兄弟喧嘩するもんな……」 「………あれは楽しいのです」 「どっちもムキになってさ」 「大目に見なさい……」 「そんな瑛兄も大好きだ」 康太が言うと翔も 「らいちゅき!」と言った 瑛太は本当に嬉しそうに笑った 「翔……私も大好きですよ」 瑛太は翔を抱き上げて頬にキスを落とした 翔はキャッキャと喜んで笑っていた 「たまには……こんな日も良いだろ?」 「………たまにはこんな日も良いですね…」 瑛太はそう言い笑った ソファーに座って翔を膝の上に載せてはいた 康太は瑛智も瑛太の膝の上に乗せた 「……重い……」 瑛太はあまりの重さに呟いた 「こんなに重いからさ京香が大変だ…」 「……託児所には私も連れて行く事にします…」 「そうしてやってくれ…」 「京香は弱音は吐きませんからね……」 「瑛兄の妻じゃねぇかよ!」 「ええ。愛する私の妻です」 「………最近……言うようになったな……」 「そうですか? だとしたら君達の影響です」 瑛太はそう言い笑った 兄と過ごす時間 そんな日も…… 時には良い

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